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207話 白い花を握る左手 ページ27

【雷華 視点】



ゆっくり揺れている様な感覚に戸惑ううち、少女はくるりと背を向けて歩き始める。

あぁ、またあの子が行ってしまう。みんな私を置いていってしまう。

待ってくれ、もう少しだけ一緒にいたい。どんなに冷たい言葉を投げかけられたって構わない。



そばに居られるだけで、よかったのに。



少女の姿が遠ざかっていくのに、私の足取りは重く、前に進まない。

絶望の海に飲み込まれる直前、私は無意識に前へ手を伸ばしていた。

一瞬視界が眩み、耳の奥から聞き慣れた低い声が響く。



「……華、雷華!」

「………っ!」



悪夢の記憶は、また途切れてしまった。

私の意識を現実に引き戻してくれたのは、私と同じ日之影家に居候しているロック。

真っ青な表情で私の肩をつかんでいる彼は、ようやく正気に戻った私を見て、ひどく安心してい

るようだった。まだ、肩においている手が少し震えているんだがな……

一歩後ずさる彼は、皆の方を向いて大丈夫だと言った後、私を見て悲しげな顔をする。



「雷華、本当に大丈夫?」

「へ、平気だってー! 多分……」

「無理したら怒るよ」

「……はーい」



10年前のあの顔とさほど変わらない、どうすればいいか分からないと戸惑う表情。

そこから急にジト目になって怒るところも、本当に変わらない。

私が初めて街に来た数週間後、私はあの秘密基地の大木の根元でロックと出会った。

その頃はまだ街に馴染んでいなくて、しょっちゅう街の子供と喧嘩してはあそこに来ていたな。

あの日なんかは珍しく百合亜と喧嘩して、無我夢中で家を飛び出した。

しばらく根元に隠れて泣いていたら、何かで黒ずんだ左手に白いライラックの花を握った、深緑

の瞳の少年が現れて…… まぁ今は何故か黒い瞳なんだけども。

そのまま何も言わずに手を引かれて帰ったなぁ、後で百合亜ともしっかり仲直りして。

そのあと知ったんだ、そいつも私と同じ居候の身になるロックで、本名は確か……

まぁ、その数ヶ月後に"奴"の1度目の襲来、そのまた半年後にロックは姿を消すんだけどな。

それで1年前にひょっこり帰って来やがった。しかも、注射器が凄く苦手になって。

何があったのかはまぁ、あいつも色々あると思うから…… な?



「ロック、行こうぜ」

「うん……」

「ん? そういえばお前、"アレ"は?」

「あっ…… 家に置いてきたかも。」

「おいおい。どういう物かは知らないけど、大事なものなんだろ?」

「うぅ……」

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ラッキーカラー

あずきいろ

4. までのキャラが扱える楽器をご紹介!《共通点も考え中》

シネラ:???…… まさかのオリジナル楽器です。ネタバレになりかねないので???状態。


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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:さやや | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8211/  
作成日時:2017年8月12日 22時

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