勿忘草の丘５.【オリジナル長編小説】 (ページ22)

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202話荷造りの合間にページ22

最終的に三人に説得させられたシネラと私。

もうそろそろお昼の時間だが、私達にとってはそれどころじゃない。

結局、夜中に王城を抜け出す計画を実行することになった私達は、急いで荷物をまとめていた。

アレンには連絡済みだが、後でもう一度連絡しよう。

アイビー達を敵役にしてしまうのは大変申し訳なかったが、彼女がさっき言ったとおり、その方

が百合亜さん達にも信用してもらえる。

王に外出許可をとる必要はなかった。元々とれない確率が高かったし、疑われてきょうだいを悲

しませたくなかったから。

「リファ様がついていくって、きかないでしょうしー。まぁとにかく、今夜はほとんど寝られま

せんからねー」

「まじかぁ…… ところでカエイ、私のドレスって置いていったほうがいいよね？」

「A王女にとって必要ないのであれば、置いて行きますが…… 折角のドレスなので、持って

行かれては？アイビーも喜ぶでしょう」

「一言余計よ。A様が誤解でもされたらどうするの」

「別に問題ないだろう。A王女は賢いのだから、お前の性格くらいは見抜いている」

喧嘩するほど仲が良いというのはこの事かと思いながら、私達は荷造りを進める。

ところで、ついさっき臣下になったばかりのこの二人は、今いくつなのだろうか。

見た感じ、現在１０代後半のアイビーよりも年上なのは確か。アイビーが二人に敬語を使わない

のは、彼女の方が兵の位が上だからか、二人がそう頼んだからなのか。

少なくとも、２０代以上なのは事実。問題は前半と後半のどちらなのかだ。

さて、どうしたものか。

「A。荷造り、終わった？」

「もう少しで終わるよ。今夜は大変なことになりそうだねー。シネラは楽しみ？」

「よく、分かんない。眠い」

「じゃあ、そこのソファーで寝ていて。昼食の時間になったら起こすよ」

「う、ん」

世羅とは全然似ていない、シネラの辿々しい言葉を聞いていると、私も眠くなりそうだ。

でもでも、本当にカエイ達の年齢が知りたい。もう少し後でいいかな。

えぇい、こうなったら今すぐ聞いてさっさと寝てしまえ。もう荷造りも終わったし。

昼食の時間になったら、シネラと一緒にアイビーに起こしてらうように頼み、私はふっかふかの

ベッドにダイブする。

近くの椅子に座ったアイビーに目を合わせ、口を開いた。

「アイビー、カエイとサミダレって今いくつ？」

「私にも分かりませんわ。でも多分……」