勿忘草の丘５.【オリジナル長編小説】 (ページ8)

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188話目潰しされてページ8

【ルシア視点】

ひじきの主な攻撃は、鋭い爪を持つ前脚を使った引っ掻きです。

あれが意外と厄介で、すばやいうえに腕が長いので、近距離攻撃はとても危険。

らい姉でさえ、ちょっと掠っただけに見えたはずの攻撃が１０cmくらいの傷になってました。

しかも、その危ない引っ掻きに加え、体当たりなどの巨体ならではの攻撃も多いのです。

でかいくせに素早いとか、一体どういう神経してるんですか。

「目潰しっ！」

らい姉がスリングショットで目潰しをすると、真っ赤な目を潰されたひじきは激しくのたうちま

わります。こうする事で私達による袋叩きが実行できるようになるのです。

ずっと暴れているから、決して安全とは言えないんですが……

持ち前の素早い動きができなくなるってことは、その分攻撃も当てやすくなりますよね。

こんなに分かりやすい弱点を、更に分かりやすくなるように赤くしてるのは何故でしょうか。

ひじきを作ったのは"奴ら"の組織ですよね……？

正直、アホとしか思えないんですが。本当に世界征服をする気があるのか疑いたい。

まさかこれ演出？演出の為にわざとやってんですか？

「雷華さんも遠距離できたんだね。僕ちょっと意外だよ」

「そうかな。雷華さんは拳銃くらいなら扱えるって言ってたけど……？」

「確かに、イメージに合いそうだね」

「はっはっは！俺の刀さばきを見てろよ、勇助達！」

「あ、ちゃんと見てるよ一矢。頼むから近距離攻撃は避けてね！」

「おうよ！」

魔法が使えない勇助はいいとして、澪が戦っていない理由を話しましょうか。

彼女は元々普通の人間のうえに、魔法との相性が良くなかったんです。そうなると、攻撃魔法の

威力は小さくなってしまうので、ひじきと戦わせるのは危険。

結局、簡単に扱える回復魔法の方を選んでもらいました。

そう考えると、彼女の将来の職業はクラーレさんみたいな医者ですかね。

それか、彼女の身体から魔力が抜け出して、もとの人間に戻ってしまうかも。

あの呪いが悪化するかもしれないですし、気をつけないと。

って、そろそろ倒せそうじゃないですか。

とどめはアレンが刺すんですね。謎の日本刀ですけど頑張れ。

「おりゃあっ！！」

アレンが刀を振り下ろし、ひじきの巨体を一刀両断した直後。

ひじきは、暑くもないような赤黒い炎をあげて消滅しました。

結界は晴れ、青空が広がっていきます。

はぁ、ここからまたアルメリアに行くんですよね……