勿忘草の丘５.【オリジナル長編小説】 (ページ14)

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194話でりかしーのない少年ページ14

【紗羅視点】

えっと、ゆり姉の口から驚くべき事実が飛び出したんだけども。

ぽかんとしたまま動かない皆。誰かこの沈黙を破ってちょうだい。

らい姉もなんか言って。ゆり姉にサイネリアの事をきいた張本人でしょうが。

気まずそうにみんなから目をそらさないで。シーツにシワをつくらないで。

一方のゆり姉は、困った様子で目を泳がせている。

……その数秒後、ユラ達がその場を盛り上げてくれたお陰でなんとかなったわ。

「ごめんねみんなー！どうやら僕達がミスをしていたようなんだー！」

「サイネリア王家が全員魔法を使えるっちゅうのは、アタイらの勘違いやったんねー！」

「……申し訳ない。とりあえずこいつらを鎮めさせてくれ」

「レオ落ち着くんだー！！」

「ひとんちでそげな物騒なもん構えちゃあかんでー！？」

結局、エルとユラの思い違いだったみたい。

サイネリア王国のことを私達に教えてくれたのは、ユラとエルだったからねー。

あの２人、いつも物事を大きめに言っちゃうから、まぁ仕方ないわよねー。

とりあえず銃を構えたレオを止めないと。待ちなさい待ちなさい。

サイネリア王家でも、魔法を使えるのはあの４人の王子王女だけだったとなると……

本来なら使えないはずだったみたいね。じゃあ、どうやって使えるようにしたのかしら。

アルメリア王家だって、今回どうやって私達を助けたのか分からないわ。

妙ね…… そもそも、魔法が扱える人間だって数が限られているはずなのに。

「その通りだな」

「ひゃあっ！？」

「そ、そんなに驚かなくてもいいだろ。耳元で話しかけただけだぞ？」

「いいわけないでしょ！もぅホント、世羅にはデリカシーってもんがないのよ！しかも」

「しかも読心術？」

「ぐぬぬ……」

私が言えるようなことでもないけど、本当に読心術を乱用してくるわよねこいつ。

しかも、背後から近寄ったうえに、人の耳元で話し始めるなんて……

職業病や癖だったとしても酷いわよ。この部屋には信用できる仲間しかいないんだから、普通に

話しかければいいじゃない。

「ところでお前、この世界の魔法使いの傾向がどうなってるか、知ってるよな？」

「え、特に詳しくは知らないけど……？」

「なら後で話す。そろそろアルメリアの王女が来るぞ」

「りょーかい」

世羅が話を終えた直後、部屋のドアがゆっくりと開き、アルメリアの王女が入ってきた。

ホントに、勘だけはよく当たるわよね。