貴女に惚れた5 ページ8
「与謝野せんせーい。入水してたら川底の石で指を切ったから、絆創膏くれません?」
扉を開けて入って来たのは何故かずぶ濡れの男だった。
長身痩躯に、整った顔。砂色の外套を着たその男はヘラヘラと笑いながら与謝野女医が絆創膏を探すのを見ていた。と、男が俺に気付く。
「やあ、与謝野女医に告白したって社内で話題の人にこんな所で出逢えるとは!いやぁ嬉しいねえ!」
大袈裟にそう云う男。顔は笑っているが目が笑っていない。何かを探る様な、そんな目つきだ。
「あったよ」
与謝野女医が絆創膏を差し出すとその目つきも一瞬で消えた。…だが気の所為等ではない。この男は何処か胡散臭い。
「アンタが反異能者じゃなきゃ、解体して綺麗サッパリ傷を消してやるのにねェ」
「私が反異能者でなくても、解体されるのは嫌ですね。痛いのは嫌いだ」
…ところで、と男が俺の方を向いた。その目は先程と同じ、何かを探る目だ。
「君の名前を教えてくれるかい?」
「そんなものを知って如何する気だ。貴様に教える義理は無い」
「そんな事云わずに教えてくれたまえよ」
「そう云う場合はまず自分から名乗れ礼儀知らずが。それと、歳上に対する態度が成っていない」
俺がそう云えば何故か驚いた顔をする男。
「歳上って…君、幾つだい?」
「…二十八だが」
…男は兎も角、何故与謝野女医まで驚いた顔をしているんだ?
92人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Asterisk@あーちゃん(プロフ) - 『鳳』って、与謝野晶子女史の旧姓ですよね!! (2019年5月14日 22時) (レス) id: 13131826f9 (このIDを非表示/違反報告)
Asterisk@あーちゃん(プロフ) - コメント失礼致します。凄いです、こんな小説を探していました…!主人公が鉄幹さんなんて、凄く素敵です!! (2019年5月14日 22時) (レス) id: 13131826f9 (このIDを非表示/違反報告)
藍斗(プロフ) - 続編希望です! (2018年7月30日 10時) (レス) id: 2f591e73cb (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - 1 (2018年7月27日 17時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - 1 (2018年7月27日 13時) (レス) id: 6ed63001fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ペンギン屋 | 作成日時:2018年7月9日 23時