貴女に惚れました。【文スト】【男主】

貴女に惚れた35 ページ38

他人に興味が湧かない俺にも一つ、特技がある。


人の年齢を当てる事だ。


俺自身、かなりの童顔だからな。そんな自分の顔を毎日鏡で見ていれば、年齢と顔がそぐわない奴は大体分かる様になる。


後は同僚の言葉だな。彼奴とは何故かよく相棒(バディ)を組まされるが、その時云われた。


「貴方、もっと他人に興味持ったらどうですか？」


俺の態度に呆れた、そんな風だった。どうすれば良い、と云う俺に、手始めに人間観察でもしたら良いんじゃないですか、と云うから素直に始めてみた。


その甲斐あってのこの特技だ。特に活用する場面は無いがな。


まあこんな風に生きて来た。だから死ぬまでこのままだろうと思っていた。


与謝野女医を街で見かけた時、生まれて初めて、彼の人の事が知りたいと思った。


知りたくて、行動を起こした。そうしたら願いが叶った。探偵社に通い詰めるうちに与謝野女医に影響されたのだろう。でなければ行光を連れ帰ったりしなかった。


二十八年間生きていて、こんなにも満ち足りた生活を送るのは初めてだ。与謝野女医のおかげだな。


俺の灰色だった人生に、光を灯してくれたのは紛れもなく与謝野女医だ。天使、いや女神か。


俺の女神。


………云っておくが、これは冗談では無い。


俺の本心だ。


俺の、心からの言葉。

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