第五章第四話 ページ34
大きい街なため、なかなか見つからない。
これなら集合場所くらい決めておくんだったと後悔していると、運の良いことに遠くの方に二人の背中が見えた。
すぐに駆け寄ると二人でじゃんけんの練習をしている。
「もしかして真実の剣ゲットするため？」
ぴょこっと顔を覗かせると「わっ！」と二人とも驚いた表情。
「けどじゃんけんって運じゃない？練習必要？」
「キルア、Aとやってみなよ！練習の成果！」
キルアは拳を前に出し、「最初はグーからな」と少し不貞腐れた表情で私を見る。
何かあったのかな？と私も拳を出した。
最初はグーと出し、じゃんけんをして早十回目。
一向に勝てません。
キルアが一勝していくごとに不貞腐れた表情からニヤニヤとしてくるのかむかつく！！
「なんで！？なんで勝てないのー！！！」
ついには頭を抱えた。
「実はね！」とゴンは必勝法をごにょごにょと周りには聞こえないように耳打ちする。
「....それ、難しくない？」
「うん！才能と練習がいるんだ！」
そんなあっさり才能と言えるのはゴンに才能があるから。
お姉さん、出来るか心配だわ。
「....うん！もう二人が出な！私は応援しとくよ！」
これが一番手っ取り早いと感じた私。
ゴンは最初、Aもやろーと誘ったがなんとか諦めてくれた。
それにしても....
「キルア、私何かした？」
すっごくムスッとしてる。まるで猫みたいだ。
「別に！何もねーよ。...ガルガイダー売って金にして四日間泊まる所探さねーとなって思っただけ！交換ショップ行くぞ！」
スタスタと前を歩いていくキルア。
私たちもキルアを追う。
ゴンはキルアには聞こえないようにまた耳打ちをした。
「キルア、きっとAがお客さんと仲良くしてて嫉妬してるんだよ。」
嫉妬....。そっか、嫉妬してくれてたんだ。
ぐっと下唇を噛み、ゴンにありがとうと言うとキルアの隣に行くため駆け寄った。
「...愛想笑いだよあんなの。本気で笑えるのは仲間といるときだけ。」
ポンポンと頭を撫でると、キルアはパッとその手を掴む。
「わ、わかってるっつーの！」
その顔はやっぱり赤くて、可愛い。
好き。
もし、許されるなら....今すぐに言いたい。
彼と、一緒になりたい。
抱き締めたいもっとぎゅっと。恋人が肌を寄せ会うようにするハグを。
私には、まだそんな勇気がないから頭を撫でるだけ。
この光景を一人の少女が見てることに私達は気がつかなかった。
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作者名：焼き肉 | 作成日時：2019年9月16日 17時
