狩られる者。② (ページ36)

今日:6 hit、昨日:17 hit、合計:99,218 hit

第三章第二十六話ページ36

パッと声のする方を見ると綺麗な二十代後半くらいのお姉さんがエプロンをつけて立っていた。

「はい、初めまして。ゴンくんの友達のAといいます。これ、つまらないものですが。」

私はバッグの中から自分の故郷の近くで買ったお土産をミトさんに渡した。

「ふふ、ゴンの言ってた通り。見た目は十代だけど、ほんとに大人なのね。」

「さっきの見てたわよ」と言われ、思わず顔が赤くなる。

「Aさん、先にお風呂入ったら？疲れたでしょ？服も洗うし！」

「へ？い、いえ！お気遣いなく！」

「はい、ゴン！Aさんをお風呂場に案内してあげて！十秒以内！」

じゅーう、きゅーうと数えていくミトさん。
ゴンは私を家の中に入れ、お風呂場に案内した。

「タオルはここらへんの好きに使って！服とかある？」

「うん。ありがと！」

ゴンは「ごゆっくり～」と言うとキルアと一緒に二階に行ってしまった。

では、ゆっくりさせていただきます。

★

お風呂から上がると二階ではなくリビングに行った。

「ミトさん。手伝えることありますか？」

女たるもの！お手伝いをしなければ....
私はバッグを端の方に置き、ミトさんの隣に行く。

「じゃあ、これ切ってくれない？」

「はい！」

トントントンと野菜を切っていく。

「貴女、手際いいのね～」とゴンのおばあちゃんだろうか。褒めてくれた。

「ありがとうございます！」

「おばあちゃんこっちお願い！」とミトさんはおばあちゃんにシチューの火加減を任せ、私と一緒に野菜を切っていく。

「貴女がゴンと一緒にいるって聞いたときは驚いたわ。だって年が九つ離れてるんですもの。」

「あ、あはは。」

「けど、安心した....。やっぱり子供だけじゃ心配だったし。」

「それに、言ってたの。Aは優しいんだ～って、何かあったら頭撫でて抱き締めてくれるって。」

ミトさんは包丁を置くと、私に頭を下げた。

「ほんと、ありがとう。」

「い、いえ！私の方こそ！ゴンにはいろいろお世話になったので！！元気付けられました！」

ミトさんは顔を上げる。

「私の方こそ、ゴンをあんないい子に育ててくれてありがとうございます。」

次は私が頭を下げた。

「これからも、よろしくね。ゴンのこと。」

「はい！」

私達はニッコリと笑い、食事の準備をした。