第二章第一話 ページ34
あと数時間で、パドキア共和国につく。
あともうちょっと..
今は一月二十五日の深夜二時。三人とももう眠りについていて、寝息しか聞こえない。
私はなかなか寝れず、ベッドから起き上がり窓から月をただぼぅっと眺めていた。
すると、「月、綺麗だな。」とクラピカの声。
振り返るとクラピカが微笑みながらベッドから立ち上がっていた。
「起こしちゃった？」
「いや、そんなことはない。」
クラピカは私の隣に来て、窓の外を見る。
「ずっと、聞こうと思ってたことがあるんだ。」
何だろうと思い、クラピカを見るとクラピカは私を真剣な目で見ていた。
「Aは、幻影旅団のことをどう思っているんだ？」
少し目が赤くなっているクラピカ。気持ちが高ぶっているのだろう。
「...最初のころは、憎くて仕方なかった。アイツらがいなかったら、今も村はあったし、私は家族と一緒に暮らせてた。」
私は目線を月に戻す。あのままクラピカの目を見ながら話すと、「一緒に幻影旅団を倒そう」なんて言ってしまいそうだったから。
「けど、今はもうどうだっていいかなー。」
「そう、か。」
「うちの一族は復讐とか嫌いな人達だったからね〜！」
私は目が真っ赤になったクラピカをそっと抱き締めた。
「よしよし、大丈夫。大丈夫だから..。私のことはいいから、クラピカは自分のことだけ考えて。私は..私達一族は、もういいの。」
クラピカの背中をまるで弟をあやすかのように優しくさすった。
するとすーっと目が赤色から鳶色に変わる。
「それに、あっちのことまで考えてる暇なんてないしね。」
私はクラピカから離れると自分のベッドに寝転がる。
「クラピカ、私は自分のことだけ考えてとはいったけど、クラピカに人殺しはしてほしくない。」
「A....」
「やり方次第じゃ殺さず復讐だって出来ると思う。応援してるよ、クラピカ。」
早く念を覚えな、クラピカ。そしたらきっと....
「...ん？A？」
私は知らぬ間に眠りについていた。
クラピカはそれを見てクスリと笑うと、私に布団をかぶせ、
まるで姉のようだ。
そう思ってクラピカは布団に入った。
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作者名：焼き肉 | 作成日時：2019年8月17日 17時
