狩られる者。 (ページ4)

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第一章第二話ページ4

「ジュース貰ってないでしょ？」

「うん。」

「ほら、気に入られた。」と言って男の子は左手に持っていたオレンジの缶ジュースをグビッと飲む。

「お姉さん、帽子被ってるからわかりづらいけど、綺麗な顔立ちだしね。」

この子は何を言っているのだろうか。

寧ろ貰えた方が気に入られているということなのではないだろうか。

頭の中にクエスチョンマークが浮かび上がる。

「ははっ！わかんねーって顔！実はこれ、毒入ってんだよ。この毒で新人潰してるんだと思うぜ。」

「それは本当？」

「ああ、ほんと。何の毒かは知らないけど」

彼はその毒要りだというジュースを何のためらいもなしに飲んでいく。
私は驚きというよりも、怒りという感情が大きくなった。

「じゃあ、飲んじゃダメ。」

「へ？」

私は彼からジュースを奪い取ると、まだ中身のある缶ジュースを近くのゴミ箱に捨てた。

「あーーー！！！何すんだよ！！」

さっきまで子供らしく笑っていた彼から笑顔が消え、眉を上げて怒る。

「ジュースならあとで買ってあげるから....それより！！」

彼の目線と合わせて屈み、ガシッと彼の肩を掴む。彼は目を真ん丸にしている。

「身体は大丈夫？何処も痛くない？平気？」

「は？」

「軽い毒だったのかな？けど、毒ってわかってるなら何で飲んだの？」

彼は「俺、毒効かねぇし」とボソボソっと言う。

「効くとか効かないとかの問題じゃない。自分の身体を大切にしてよ。ね？」

ポンポンと頭を撫でる。
あ、結構猫っ毛で気持ちいい。

「わ、わかったから！！撫でるな！！」

バッと私の手を払い除け、真っ赤な顔をしてこちらを睨む。

「おっと！ごめんごめん！..それより、名前言ってなかったね。私はA。君は？」

「..キルア。」

「よろしくね、キルア！」

★

第一次試験が開始したのだが、内容はいたってシンプルだった。

試験官に着いて来ること。

体力なら自信がある私は、キルアと一緒に走り出した。いや、キルアは走り出してはいない。

ガーガーとスケボーに乗り、余裕の表情だ。

「Aも乗る？」と聞かれたが、スケボーに乗ったことがなかったため、キルアのバランスが取りづらくなるだけだろうと思い、遠慮した。

私達は次々と受験者達を追い抜いていく。

とある三人組を抜いたとき、「おいガキ、汚ねーぞ！」と一人の男性がキルアに怒鳴った。