狩られる者。 (ページ28)

今日:24 hit、昨日:28 hit、合計:133,647 hit

第一章第二十六話ページ28

皆、扉の前に立ち、ギタラクルの行く手を阻む。

私は思い通りに動かない足をなんとかしながら立会人の人の側に行き、針を抜いた。

すぐの処置だったため顔が変わらずに済み、刺されたところは私の念で治した。

「キル、俺と戦って勝たないとゴンを助けられないらしい。友達のために俺と戦えるかい？できないね。なぜならお前は友達なんかより今この場で俺を倒せるか倒せないかの方が大事だから。」

考えが当たったのか汗の量が尋常じゃない。

「勝ち目のない敵とは戦うな。俺が口酸っぱくして教えたよね。」

キルアは動こうとすると「動くな」と命じる。

「少しでも動いたら戦い開始の合図とみなす。同じくお前と俺の体が触れた瞬間戦い開始とする。」

「止める方法は一つだけ、わかるな？」

ギタラクルの手がキルアに近付いてくる。
キルアの脈拍はマックスだろう。

「俺の..負けだよ。」

負けを宣言したキルア、それに「あーよかった」とギタラクルは喜んだ。
ゴンを殺すなんて嘘さなんて言って。あの目は絶対に本気だった。

「でもこれではっきりした、お前に友達をつくる資格なんてない。必要もない。」

そのあと、キルアはまるで抜け殻のようだった。
何を言っても反応してくれない。怖かった。もう、話してくれないんじゃないかって。

しかし、突然キルアが動きだしたと思えばレオリオの対戦相手だったボドロさんの心臓を一突きで殺してしまった。

キルアは扉を開けて出ていった。

まって、キルア..まって！！

「キルア！！」

まだ遠くまで歩けないのに、私はキルアを追いかけた。レオリオとクラピカの呼ぶ声を無視して。

キルアは止まろうとしない。出口に向かい、そのままホテルを出ようとする。

「キルア！ねぇ！」

無言だ。今の私じゃ、止めることが出来ない。

「..約束覚えてる？」

一瞬、耳を傾けた。

「迎えに行くからね。待っててね。指切り！したんだからね！わっ！」

足に力が抜け、倒れる。

キルアは一瞬立ち止まると、走って行ってしまった。

キルアは闇人形なんかじゃない。さっきだって心配して止まってくれた。キルアは優しいんだ。

..戻ってくるかもしれない..

「キルア..」

私はレオリオとクラピカが来るまで、ここを動くことが出来なかった。