【第3章】誰かチャラ男の取り扱い説明書持ってませんか？

救助訓練レース ページ1

季節はもうセーターもブレザーもいらない時期になってきたというのに、そっけなくされただけで少し寒くなる。


そして二人が笑いあっているところを見ると胸が痛くなり、ドロドロとしたまるで血液みたいな醜い何かが内から溢れてくる。



何かあったのかな？

それとも私…何かしたかな？




そんな言葉が頭の中でループする。


と、そのとき、「おい、A…。」と低い声が後ろから聞こえた。


目の前の上鳴と響香ちゃんは笑いを堪えるのに必死な様子。



振り返ると、8:2坊やの勝己が今にも襲いかかってきそうな顔をして立っていた。




「てめぇ、先に行きやがって！！」


『ご、ごめん。ふっ…ふふ。直らなかったんだ…。』




さっきまでの胸の痛みが8:2坊やのお陰で少しだがおさまった。




「…じゃ！うちら先に教室行っとくわ！またねA！ほら、行くよ上鳴。」


「あ、おう！」




響香ちゃんはひらっと手をふり、私の好きな人と一緒に階段を上がっていった。

前まで私が隣に…


またドロドロとした何かが戻ってくる。





「…おい、A。はやく上履き履け。」


『あ、うん。』





さっきまでの怒りに満ちた声とは違った冷静な声に私はすぐ上履きを履いた。


私と勝己が教室につくと、切島と瀬呂が勝己の髪型を見て笑っていることは言うまでもないだろう。





★





「ハイ、私が来た」とパターンがつきたのかヌルッと入ってきたオールマイト

「職場体験直後ってことで今回は遊びの要素を含めた救助訓練レースだ！！」


というわけなのだが…

私の組みはというと…


私、勝己、峰田、梅雨ちゃん、百ちゃん…

そして上鳴


まぁ、こんな広いところだし迷路みたいだから鉢合わせなんてそうとうないだろうけど

合ったらどうしよう


そんなことを考えながら位置につくと、スタートの合図が出された。




勝己、私もその動き真似させて貰います。


個性を使って近くのビルに登り、そして近くの柱などに跳び移るのを繰り返す。





現在の一位は勝己

そして私が二位




フルで行ったら勝てる！

けど、足元をちゃんと確認して冷静に冷静に…

足元を確認するとその下には…




…上鳴




必死に走っている姿を見て胸がキュンとなる。



って、ダメだ！今は救助訓練レースに集中…集中

と、思い前を見たときにはもう遅かった

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