十五話、先生。ずるいですよ ページ15
「あぁ、有栖は指名来ていないんだよな。」
「はい。体育祭のときはまだここの生徒ではなかったので……」
凄い、凄い！私の憧れのヒーローと廊下で二人っきりでお話してる……！！
今は興奮で顔に熱が集まってくる。
「だったら受け入れ先からー………と言いたいところだが、何かあるのか。」
鋭いな。私が悩んでいることがもう分かってしまったんだ……。
「そうなんです。私、まだ個性のバランスが上手くいかず、ちゃこ………麗日さんと手を繋いだりすると勝手に個性を発動させてしまうのです。そんな状態でプロヒーローの現場に居合わせるなんて邪魔になるだけなんじゃないかなって…………。」
ずっと考えていたことを話す。
先生なら悩みも全て解決してくれるような気がしたから。
「なるほどな。じゃあ、有栖。俺のトコに来るか？」
「へっ！？」
俺の…………トコ！！
それはいわゆるプッ……プロポーズに使われる言葉ではないのでは………！！！
「先生……それは……！」
「勘違いするなよ、マセ餓鬼。『職場体験、俺のトコに来るか？』だ。」
………訂正されちゃった……。
おマセではないのだけどなぁ。
ただせっかく憧れているひとからの言葉なんだもの。夢だってみたいよ。
「返事は？」
「もちろんです！お願いします！！」
良かった……！どうにかなりそう！！
相澤先生はフッと笑って制服の上から腕を掴んで右側の廊下に私を立たせると
「真っ直ぐ進め、有栖。職場体験のときは手とり足とり二人っきりで教えてやるよ」
と言って去っていった。
『真っ直ぐ進め』。それはこの廊下を進めば戻れるという意味と人生を曲がることなく迷うことなく進めという意味が込められているような気がした。
というか…………
「先生、さっきは私のことマセ餓鬼とか言っておきながら『手とり足とり二人っきりで教えてやる』を強調するなんてずるいですよ………」
これで、名前を呼ばれていたらと考えると、脳が追いつかなくなってしまい、地べたに座り込んでしまった。
相澤先生はその頃、職員室でほんの少し上機嫌だったのをマイク先生に指摘されていたなんて私は知る由もないのです。
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冬音 - 相澤先生がお兄ちゃんだなんてびっくりしました(笑) (2020年2月20日 22時) (
レス) id: 4b22177c0e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 轟が友達になろうって言ったとき、「こいつ、まさかとは思うが個性強くしてもらうために話しかけた・・・・？」とか思ってしまった。ごめん。 (2018年8月3日 1時) (レス) id: 071a98174c (このIDを非表示/違反報告)
つむ(プロフ) - 哀流さん» それ、書いててめちゃくちゃ思いました！（笑）でも爆豪くんならやりかねないと信じていたので（笑） (2017年11月12日 15時) (レス) id: 06e376deec (このIDを非表示/違反報告)
哀流 - 爆豪威圧で道案内とかやっぱ才能マンですねー。 (2017年11月12日 15時) (レス) id: f3d50ceb36 (このIDを非表示/違反報告)
つむ(プロフ) - 夏祈さん» 確認しました！ありがとうございます！！良ければお話しましょ！！！ (2017年11月11日 13時) (レス) id: 06e376deec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つむ | 作成日時：2017年9月6日 22時
