隣の部屋のシゲオカくん (ページ9)

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「重岡くん、これ食べる？」

「食べる！ああ、けどこっちも美味そうやなぁ、どうしよ…」

「どれどれ？好きなの言うてくれたら取るで」

何やこの状況、なんでこうなった……

所属するダンスチームのスタジオがメンテナンスで一時休館となる関係で代わりの練習場所を探してたんやけど、それが偶々このアパートのすぐ近くのスタジオやったらしく

実家暮らしの神ちゃんにとっては中々キツいので、メンテが終わるまでの約二週間、ウチに居候させてくれないかと、

大学での講義中にそう聞かされたのがつい数時間前

お礼とこれからお世話になりますって事で、ウチで手料理を振る舞ってくれることになったのは良いけど、そこまでは良いんやけど、

何故しげまで居る……？

いや呼んだのはこっちなんやけど、てか何気にしげがウチに来るのはじめてやし同じメシが食えるなんてめちゃめちゃ嬉しいけど！！

「はぁーーー、神ちゃんのご飯うまぁ、箸止まらへんわこれぇ」

「重岡くん本間美味しそうに食べてくれるから俺も嬉しいわぁ、どんどん食べや？」

この雰囲気ね、一応ここ俺ん家
分かってますか？お二人さん……

おかげで俺はすっかりご機嫌ななめ

「小瀧、食べてる？」

食べてます、さすが美味しいです。

「小瀧？」

小皿に取り分けられたシーザーサラダひたすら食べてます。

「こっちも美味いで、食べてみ」

黙りこくってる俺を見兼ねて、ほれ、と魚介パスタ巻いたフォークを俺に見せてくるしげ

隣に座るしげの方に向かって、試しにあーん、と口を開けてみた

「……！」

俺の口の中で超絶的な味が広がった、そのほんの一瞬前、

ちっさい声で微かに「…しゃあないな、」って聞こえたの、可愛過ぎてさっきまでの事なんてもう一気にどうでも良くなってしまった。

ああ本間、単純な男やわ、俺……