6:変人の女。 ページ6
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「社の信頼と民草の崇敬を一身に浴す男」
『そのアホみたいな冗談も、包帯の無駄遣いもやめて下さいよ太宰さん』
「うわっ!」
目覚めた敦を寮から連れ出し、仕事の斡旋をするべく街を歩いていた二人の前にAは突然現れた。
「おはようA。朝から君に会えるなんて、今日は素晴らしい一日になりそうだよ」
『やあ敦さん、おはようございます』
「えっ、今、」
太宰の言葉をサラッと受け流した、というか最早無視したAは何も気にせず話を進める。
敦は空を見て地面を見る、この動作を続けていた。
何故なら、Aは今、上から降りてきたのだ。
彼女が何処かから飛び降りて現れる、慣れれば普通のことだが、敦にとっては異常事態だ。
敦は武装探偵社の異質さに身震いをした。
『で、探したんですよ太宰さん』
「ビルの上を走りながら?」
『その方が視界が広いですし』
そして、見つけて飛び降りてきた。
多分それはやめた方が良い。
何故なら、一般人の視線が痛いからだ。
『この非常事態に何をとろとろ歩いて居るのだ!疾く来い!』
「えっ、敬語、」
『…って、国木田さんが云ってました』
間が長いな、そんな敦の心の声は誰も耳にすることは無い。
矢張り変人である。
「まあまあそんなことは置いておいて、此処に善い茶屋があるのだがどうだい?」
『え、奢ってくれちゃったりするんですか?』
用件を忘れて話し出すAと、それを判っていて話をやめない太宰。
この二人に挟まれた敦が非常に可哀想である。
「あの、「非常事態」って?」
『うわ、太宰さんのせいで忘れてたじゃないですか』
少しキレ気味で口を開いたAは、外套のポケットを漁り出す。
そしてそこに入っていた紙を眺めた。
『そうでした、探偵社に来てください。人手が要るんです』
「何で?」
全てを知っている太宰は、何事もなかったかのように話にのる。
敦も特に気にしていないようではあるが、普通に考えておかしい点がある。
『爆弾魔が、人質を連れて探偵社に立て篭もったんです』
ポケットから取り出したその紙。
明らかにカンペである。
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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時