36:歓迎会と。 ページ36
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『いやぁ、敦くんお疲れ様した。まさか芥川さんと共闘だなんて、地上から見てましたよ笑いながら』
「ありがとう。笑われてたのはちょっといただけないんだけど」
『鏡花ちゃんは、入社おめでとう』
「ありがとう」
鏡花の頭を撫でるAは、本当に嬉しそうだった。
それは、この戦争に勝利したからなのか、それとも鏡花の入社が嬉しかったのか。
どちらなのかは判らないが、どちらもであるかもしれない。
「敦」
『お、来ましたよ来ましたよ』
未成年なのに飲んだのではないかと思われるくらいのテンションのAは、敦の名前を呼んだ国木田をニヤニヤと見る。
少し戸惑っているような行動をとる国木田を、敦も鏡花も不思議そうに見ていた。
「社の先輩として一言云うだべきだろうと思ってな」
そう云って、国木田は敦と鏡花の肩をがっしりと掴んだ。
その時点で、何だか怖い。
「報告書は明日迄だぞ」
『阿保なんですか?』
「阿保だと?」
『いえ何でもー』
国木田の威圧感に気圧され、サッと目をそらしたA。
彼女は、国木田が二人にガミガミとお説教をしているうちに与謝野を呼ぶ。
すると与謝野は国木田をずるずると引っ張り、連れて行く。
『国木田さん、云うなら今しかありませんよ』
Aの言葉に国木田はぐっ、と口をつぐんだ。
そして、決心したかのように口を開く。
「二人共よくやったな!」
滅多に人を褒めない国木田からの褒め言葉。
敦は嬉しそうな顔をしていた。
「ところで太宰さんは?」
『何で私の方見るんですか、知りませんよ』
敦はふと、太宰がいないことに気がついた。
Aは知っているかと思ったが、案外そうでもないらしい。
『まぁ、そんなことは善いじゃあないですか。あの人どうせ仕事しませんし』
「そんなことって、」
それだけを云い残して食べ物を取りに行こうとしたAは、そうだった、と振り返る。
テンションが異常に高い上に、云おうと思っていたことを忘れる。
疲れているのか、何なのか。
『明日から仕事、頼みますね』
「いや、Aもやるんだよ?」
それに返事をすることはなく、彼女は歩いていった。
敦はいつも通りの彼女に、溜息と共に笑みがこぼれた。
『うふふ、』
それから三日。
彼女が探偵社に現れることはなかった。
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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時