23:彼女の仕事。 ページ23
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「皆聞け」
残った社員が旧晩香堂に集まって少しした頃、社長がそこに到着した。
「社の鏖殺を謀るマフィア、社の簒奪を目論む組合。この両雄から探偵社を守らねばならぬ」
『探偵社ってそんなに恨み買ってますかね?』
「空気を読め」
兎にも角にも、大変危機迫っている探偵社。
Aの云いたいことも勿論判るが、国木田の突っ込み通り、空気を読めてはいない。
福沢は、そんな彼女を放置して話を先へと進める。
「太宰、説明を」
「はあい」
此方も場の空気に合わず、間延びした返事をした。
が、最早誰もそれを突っ込むことはない。
「我々は人員を守勢と攻勢に分割し、奇襲戦法で姑息に抗います」
守勢の要は云わずもがな、此処で与謝野を守る事だ。
彼女がいれば、死なない限り全開できる。
そして太宰は、社員を三つのグループに分けた。
『私が入って無いんですけど』
「Aは何処でも善いよ」
『それって何処にいても利益にならないって事じゃないですか』
ニコニコと笑う太宰に少し睨みを利かせた後、溜息をついたA。
『守勢で』
「じゃあ、拠点の事は頼んだよ」
その後、彼等は組ごとに動き出す。
***
『街は至って平和ですね』
組ごとに別れてすぐ、Aは福沢に許可を貰い、短時間の外出をしていた。
皮肉っぽく呟いた言葉からは、苦労が見える。
彼女が外へ出た理由。
それは、本来の仕事をする為だ。
物事が、約束された結末へ向かうように。
Aが辿り着いたのは、探偵社建物付近の裏路地。
『奇襲を仕掛けても無駄ですよ、誰もいませんし』
振り向いた数人の男。
彼等は凡そ、探偵社によって壊滅させられた組織の残党である。
人助けをしているからと云っても、恨みを買わないわけではない。
『私でよければお相手しますよ』
物事が、敷かれたレールの上を間違える事なく進めるように。
邪魔なものを避けるのが、彼女の仕事である。
『邪魔しないでください。探偵社とマフィア、双方の道が漸く交わろうとしているんですから』
全ては、"あの人"との約束を果たすために。
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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか?!是非ともよろしくお願いします! (2017年12月19日 7時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか? これからも更新がんばってください!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!更新、頑張ります! (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました!とっても面白いです!!私の好みの作品です!更新、頑張ってください! (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2017年10月9日 1時