12:その時まで。 ページ12
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『太宰さん！！』
勢いよく呼ばれた太宰は、目を見開いて驚き、一歩後退した。
『まさかマフィアに戻るとか云いませんよね？！』
「え？」
思いもよらない言葉に、今度は混乱を隠せない。
それでもAは、そんな太宰の様子を気にかける素振りも見せず、話を続ける。
『だって、あんなに健気に好きですアピールしてくる部下なんて、可愛くて仕方ないじゃあないですか』
私なら迷わず戻りますね、と一人で頷く彼女に太宰は言葉を失う。
矢張り、AはAであった。
「戻りたいなんて思わないよ。何せ私には彼よりも可愛い同期のAが、」
『まっ、帰りましょ？』
「聞いておいてそれは酷いよ、」
太宰の話をいつも通り途中で止めた彼女は満足そうな顔をしていた。
冷たく遇らう事は多くても、彼らは唯一の同期なのだ。
元の仲間より、自分をとった事が嬉しくないはずはない。
「如何して芥川くんを挑発したのだい？」
『健気過ぎてちょっと遊んじゃおうかなって思っただけです』
うふふ、と笑うAに太宰も笑みを返す。
ただ、命をかけてまでする事ではないだろう、と心の中で思ってはいる。
よし、と呟きナオミをおぶる準備を整えたAは無意識に頬の傷を袖で拭う。
血が拭き取られたそこには傷など、存在しなかった。
「便利な異能だねえ」
『便利なんかじゃないですよ。戦闘には向きませんし、その上自分にしか利がない』
Aの異能は自己治癒能力。
本人曰く、自分の治癒しかできないポンコツらしい。
『あれですか？特務課に経歴を洗って貰ったとか？』
「特務課に知り合いがいてね。彼に洗って貰ったのさ」
『どうりでいくら探しても出てこないわけですね』
Aと太宰、二人は互いに余計なことに口を挟んだりはしないが、探られる事を拒んでいたわけではない。
彼女が太宰の情報を得ようとしていたように、太宰も彼女の情報を得ようとしていた。
「Aのも、全然見つからないのだけど」
『それは見るなって事なんじゃないですか？』
怪我人を背負い、早足で歩く二人は珍しく中身のある話をしていた。
前職を知られた太宰は、自分だけでは不公平だ、と口を尖らせた。
『誰にも云いませんから、それで勘弁して下さいよ』
それに、と真剣な顔をしたAに太宰は視線を向ける。
『時が来れば、私の過去だって公になりますから』
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ろろみや。(プロフ) - のりばやしさん» 本当ですか？！是非ともよろしくお願いします！ (2017年12月19日 7時) (
レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 主人公さんをかかせていたたけないでしょうか？ これからも更新がんばってください！！ (2017年12月18日 22時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - 龍愛さん» ありがとうございます！そう言って頂けると嬉しいです！更新、頑張ります！ (2017年10月19日 0時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
龍愛(プロフ) - ろろみや。様の作品を初めて拝見させていただきました！とっても面白いです！！私の好みの作品です！更新、頑張ってください！ (2017年10月18日 22時) (レス) id: a85de7e0fb (このIDを非表示/違反報告)
ろろみや。(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます！！更新頑張ります！！ (2017年10月16日 23時) (レス) id: fe8b589f10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろろみや。
| 作成日時：2017年10月9日 1時
