もうすぐ ページ16
そして数分後。着替えが終わったらしい。
俺は廊下につまみ出された。ちょっとした女子トークが微かに聞こえたけど…。
先程、窓から覗き込もうとしたら、ヤシロが恐ろしい顔で鍵を閉めた。
「じゃじゃーん!可愛いでしょ!」
「おぉ!」
パチパチと拍手。
少し大人しめのワンピースに着替えていた。そしていつの間にか前髪と毛先は綺麗に整っていた。さっき切ったのだろう。すごいな、ヤシロ。
「は、恥ずかしい…。」
と、照れているAが全力で可愛い。抱きつきたい。
「可愛いよAちゃん!“お人形さんみたい”!」
「…っ!」
(や、やばい。)
Aはお人形と言われるのを嫌っている。まさかのヤシロがこのタイミングで…。
いや、俺が言ってなかったのが悪いんだ。A、大丈夫…かな。
「…ありがとう、ネネちゃん。」
「!」
「良かった!」
ほっ、と安心した。一瞬戸惑った様子だったけど…。
でも洋服にはとても気に入っているみたい。楽しそうで何よりだ。
*
その後。まだまだ居たいと駄々をこねているヤシロを家に帰した。もう遅い時間だから。
「それにしても良かったねーA。」
「うん。」
待って。ちょっと微笑んでる。オーラが、花が、見える。可愛い。
「!…どうしたの。」
俺はやっとAに抱きつくことができた。少しヤシロの匂いがする。
「絶対にAはモテる!」
「モテないよ。」
「モテるよ!ぜーったい!」
実際、俺は完全にAに惚れている。
あぁ、なんで生前の時にあまり関わらなかったんだろうと後悔する。今じゃもうお互い死んでいるし、更に俺はこの学校から出られない。
「さっき、ネネちゃんがお人形さんって言ったでしょ?」
「!うん。」
自分からさっきの言葉を言ってきた。
「別に嫌だなっては思わなかった。」
驚いた。そんなことを言うのは“初めてだ”。
「それに、もうすぐ“ちゃんとした友達になるから”それまでの我慢、かな。」
「!」
俺はゴクンと喉を鳴らした。
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のんのん - おおお面白いです!いっぱい読みます! (2020年7月28日 16時) (レス) id: 7c57b8ea8a (このIDを非表示/違反報告)
ノン(プロフ) - 若葉さん» ありがとうございます! (2020年3月4日 15時) (レス) id: 06efefbac8 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 最高! (2020年3月3日 20時) (レス) id: 4dface175c (このIDを非表示/違反報告)
ノン(プロフ) - なおさん» ありがとうございます。 (2020年2月23日 16時) (レス) id: 06efefbac8 (このIDを非表示/違反報告)
なお - ノンさん» いえ笑更新楽しみにしてますね! (2020年2月22日 20時) (レス) id: 400d3f0549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノン | 作成日時:2020年2月16日 12時