九 ページ9
「でもさ、君って相当人生に悩んでいるよね。」
「…え?」
すると花子さんは私を端の方まで追い詰める。身動きが取れない。
「例えばーうーん…そうだなぁ…____________家族に愛されていないとか?」
「…!」
心臓がバクッと音を鳴らす。
「ありゃ。図星?」
「…ち、違っ。」
これは完全に図星だった。花子さんの言っていることは当たっている。
「違わないよね?」
「!」
そして無理矢理目を合わせようと、私の頭を鷲掴みする。
「離して…。」
怖い。ただ、花子さんの目が怖い。
人と目を合わせるのは怖い。
目は何かと語ってくるのだ。言葉にしなくても、目を見ればわかる。
「弟ばかり愛される…とか?」
「や、やめっ…。」
「とある事件を起こして、冷たくなったとか。」
「…言わない、で…!」
目の周りが熱くなる。
今まで気にしていなかったことを、抉り取られるように思い出していき頭が痛くなる。
「や、めて…くだ、さい…。」
「あ。ごめんごめん。」
花子さんは後ろに回していた腕を離す。
そして足に力が入らなくなり、その場にしゃがみ込む。
完全に遊んでいる。
「見えるって大変?」
「…大変。」
「愛されたい?」
「…。」
「居場所、ある?」
「…うるさい。」
「…んー。」
「…。」
花子さんは短い質問をしてくる。
答えるのにもうんざりだ。
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作者名:ノン | 作成日時:2020年1月26日 18時