ミえるヒト。【地縛少年花子くん】 (ページ26)

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二十六ページ26

「ねぇ寂しかった？寂しかったよね！？」

　
と、目をキラキラさせている。そして顔を近づけてくる。近い。

　
「…うん。」

　
私は素直に返事した。

　
「Aが…素直なんて…！」

　
なんで震えながら驚いているの。

　
「素直で悪い？」

「滅相もございまセン！」

　
正直に言わなかったら、ちょっかいを出してくるくせに素直に言ったら驚くとか。

忙しい奴だ。

　
「お弁当？」

「あ、うん。」

　
花子さんはお弁当に視線を向けた。そういえば、食べている途中だった。

　
「美味しい？」

「…ううん。」

　
美味しい、と聞かれたら美味しい、と普通は答えるのだろう。

私はそういかない。頭を横に振った。

　
「じゃあ食べなきゃいいじゃん！」

「でも作ってくれたもの、残すわけにはいかないよ。」

　
残したら何かと怒られそうだ。なんで残したの？と。

その時の理由が考えつかない。

　
「……トイレにゴミ箱あったよね。」

「えっ？」

　
もしかして、と嫌な予感が過ぎる。

このまま彼の行動見てられない。止めないと。

　
「ふふっ。女子トイレにレッツゴー！」

「えっ、ちょっと待って！」

　
しかし行動が早いのが花子さんである。

　
私の手を引いて、校舎のとある女子トイレへと足を運んだ。

　
決して、旧校舎ではない。