【 d！】幹部の席には空席が1つ

空席の行方は ページ9

夢を見ていた。グルッペンと出会った時の夢。

……………

あの日、私は森の中にあった別荘に来ていた。爺やと使用人を2人、シェフを1人連れただけのほんの少しの間だけの旅行の予定だった。普段は双子の兄に何かあった時のために、と言って男扱いをされていた私も、女の子としてその屋敷で過ごしていた。

寝室で本を読んでいた日、その日はたまたま短い髪に合わせてズボンを着ていた。すると、窓の外から声が聞こえてきたのをよく覚えている。それがグルッペンだったのだ。

社交界の場で見たことのあったグルッペンは、こうして見るとただの男の子で、私より歳上だったけれど、意気投合し毎日森の中を走り回り、遊んしていた。

グルッペンが私に言ってくれた言葉を思い出した。

gr「俺とお前は友達だ！何があっても迎えに行ってやるから、お前も俺と一緒にいてくれ！」

急に水の中に沈んでいるような気になった。
嫌だ、まだ死にたくない。そんなことを思っているとどこからか声が聞こえた気がした。

gr「帰ってこい！A！」

意識が浮上した。そこは瓦礫の中だった。どうやら戦争は勝ったらしい。

それは戦争が終わって三日後のことだった。


それからボクは、何か王が身につけていたものが残っていないかと、三日三晩探し続けた。それが、グルッペンからの命令だったからだ。そして4日め、ついに国王の王冠を見つけた。


『これで帰れる。待たせちゃったなー。おまたせ、グルッペン』

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