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「だから、えぇ、キスを、しませんか。」
「う、えっ、しま、しましょう。」
「じゃあ、あの、失礼します。」
顔を赤くして動揺していながらも受け入れられたことに安堵する。緊張しているのか目は固く瞑られ長いまつ毛が震えている。私も目を瞑り唇を押し付けると、濡れている唇はぴちゃりと音を立てながら柔らかく形を変えた。
さっきまでアイスを食んでいた唇はひんやりとしているはずなのにお互いの体温に溶かされて徐々に人肌に戻っていく。
唇から分けられた熱に浮かされたのかあんなにうるさかった蝉の音はいつの間にか途切れ、お互いの呼吸音と頭の中で鳴り響く心音だけが鼓膜をぼんやりと支配していた。
やっと唇を離してぷは、と息を吸うと重い空気が肺いっぱいに流れ込んできた。ぱちりと視線が合う。
「･･･顔真っ赤だよ。」
「いや、まぁ、照れてますよ。」
幸司君はこちらと目を合わさず素っ気なく呟いた。こちらも恥ずかしくなって目を逸らす。
「ね、それで味どうだった？」
「･･･レモン味だった。」
「そっかぁ、一緒だね。」
「え、待ってAちゃんも初めてなの？」
ぎくりと心臓が飛び跳ねる。ファーストキスがまだなんて恥ずかしくて言えないのに。これでも純情な乙女なのだから恥じらいの1つや2つはある。
「あ〜、そうだった今日猛暑日らしいよ。」
「ねぇ！話変えないでよ！」
手を絡めなおして話をそらそうと試みる。手汗大丈夫かな、絶対今目泳いでるだろうなぁ、色々と気になる点はあれど面と向かって言うことなんてもっと恥ずかしい。
「あぁもう！私も同じだって言ったでしょ！」
「えっ。」
半ば自暴自棄になって言い捨てると幸司君は驚いてぴたりと止まった。硬直した幸司君をぐいぐいと引っ張ってじりじりと焦げるような日光から逃げるように早足で歩く。
蝉の音はまた鳴り響き始めていた。湿った唇にはすっかり生ぬるくなったレモン味が微かにまだ残っていた。
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主人公補正はもうブレブレ／ito→←蜂蜜塗れで爆ぜた檸檬／ito
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白昼夢(プロフ) - カエデさん» カエデさんお久しぶりです！私の話や言葉遣いがお好きと仰っていただけてとっても嬉しいです☺️カエデさんのリクエストに沿ったお話が書けて、カエデさんに読んでいただいて幸せになっていただけたようで私も幸せです〜🎉 (2023年4月4日 2時) (
レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - リクエストさせていただいたカエデです。引き金に指を掛けて、今 拝見させていただきました…！主さんの作るストーリーや言葉遣いがとても好きな上に自分の好きなシチュエーションでお話を見る事ができてとても幸せです。ありがとうございます！！ (2023年4月3日 3時) (レス) id: 1e00067a9a (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - 里佳子さん» コメントありがとうございます🙇♀️お褒めの言葉を頂けてとても嬉しいです、こちらこそ里佳子さんの作品を毎回楽しく読ませていただいています😌遅筆ですがこれからも頑張ります☺️ (2022年4月6日 20時) (レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
里佳子(プロフ) - はじめまして。感想が浅くて申し訳無いのですが、もうめちゃくちゃ好きなお話ばかりです…。白昼夢様の語彙力が素晴らしくて、ドキドキしつつも感動しています！これからも応援させてください😌 (2022年4月6日 5時) (レス) id: 0670838cd9 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - のどかさん» 読んでいただけて嬉しいです！のどかさんにきゅんきゅんしていただけた小説を書けて良かったです☺️だいすきだなんてそんな、勿体無いお言葉をいただけて嬉しいです😌遅筆ですがこれからも頑張ります🙌 (2022年2月28日 21時) (レス) id: c583532045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白昼夢 | 作成日時：2022年1月16日 21時
