卑しき狗は笑わない 参

佰拾伍 体目（115体目） ページ43

『何をしてるんだ？』



「A/ちゃん！」



中原と太宰が私から離れる。


あれから一週間。
紅葉さんの治療？によってある程度まで回復した。



だとしても、その前の中原たちに刃を向けた事は、反逆行為なのだろうか。
怒っているのだろうか。嫌われただろうか。



『………すまなかった』



「「え？」」



『この前、二人にナイフを向けてしまった。
これは裏切り行為だという事は分かっている。
謝罪する。罰も受ける。だから』




「ちょ、ちょ、ちょっと待って！
Aちゃん、何か勘違いしてるよ！？」



『勘違い？私が二人を裏切ったから離れているのではないのか？』




「ちげーよ。お前がその、無理やりされたって聞いたからよ。俺たちの事、まだ怖いだろ？」




私の心配？心配してくれているのか。
……………二人は優しいな。





『紅葉さんのところで治療されてきたから、
前みたいに普通に話せるし、触れる事もできる。安心してくれ』





嘘だ。
本音はまだ少し怖い。
中原たちは大丈夫なのだが、他の奴らはまだ少し怖い。

だが、これ以上の迷惑は私の癪に触る。
多分バレない。バレても知らない顔をすればいい。……………其れが一番だ。




「そうかい？あまり無理はしないでよ。
私たちも仲間なのだから、頼ってくれていいのだからね」



『心配は無用だ』




「…………部屋、戻るか？」




『そうだな。戻ろう』




私は置いてあった鞄を持って中原についていく。



『まるで私がここに来た時みたいだな』



「そうだな」



久しぶり、といっても一週間ぶりの部屋
和風とは違うからまた違う部屋な感じがする。




「…………A」



『なんだ中原？』



「まだ慣れてねぇんだろう？男といんの」




バ、バ、バレタァァァァァ！
早くないか！思ったより早くないか！？

いや、気づかれるとは思ってたけどな！？



「怖いなら言え。なるべく話しかけないし
近づきもしない」



『大丈夫だ！本当に中原たちは大丈夫なのだ！
中原たちはそんな事しないって分かっている。だから、その』




袖口ギュッ




「//////！？」



『離れるな』







「紅葉姉さんに習ったのか」



『そうだが？』




「…………だよな」




「飯、何がいい？」



『「カレー/！！！」』



「言うと思ったww待ってろ、すぐ作る」




中原のカレーは美味い
他のカレーよりも何倍も美味い
隠し味でも入っているのか？


後で聞いてみるか。

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