卑しき狗は笑わない 参

玖拾漆 体目（97体目） ページ22

『な！？』



脹脛に銃弾が貫通する。




『【斬灯・傷】』



傷を回復し、神経をとがらせる。
どこに何人いる。どこから攻撃が来る。


すべての音、場所を思い出せ。
そして予測しろ。



『後ろか！』


後ろに発砲すると何かに掠った音がする。




『【斬灯・煙】』




能力で煙を切る。最初からこうすればよかったじゃないか。




「前方注意だ」



煙が晴れると目の前に眼鏡の男。




『斬t……』



能力を発動する前に、体が宙に浮き、床に叩きつけられた。



『がはっ！』



血を吐く、口の中がしょっぱい。



身体中の骨が軋む。


『………』



身体中が痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い




消す、けす、ケス、スベテ



「！？」



男は一歩後ずさる。
その空間を、ピリピリと息詰まるような感覚が支配する。


男は手帳の頁を銃に変える。
私は銃を切り紙へと戻す。
そして、死なない程度に腹を切る。





「あああぁぁぁぁあ！！！！」




煩い。


次はあの少年
その少年もこちらに気づいたようで、標識を片手に向かってくる。



ただ振り回すだけの攻撃なんて当たるわけがない。



私は肩と足そして腕に銃を撃つ。
少年は驚いたように目を開きそのまま倒れた。




次は、誰だ。
福沢か、または後ろにいた情報員か。
はたまた、まだ異能力者がいるのか。




「落ち着け」



中原が私の肩に手を置く。



『…………すまない』




落ち着かなければ、福沢の相手にもならないからな。



『少し待て、傷を治す』



「サンキューな」



中原の傷も治療し終わり、あと残っている奴も、死なない程度に潰すとするか。
少し歩くと通路に出た。
特になんの仕掛けもされていないが、誰かしらを配置してくるだろうな。







「待ちなさい！」



「『？』」

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