13鳥使い（5-1） ページ20
署名と鈴を託され、王城の方へ飛び立っていくポポの姿を、Aは祈るような思いで見送っていた。
「ま、あとはなるようになるでしょ」
その背中に軽く声を掛けながら、オビは湖に飛び込む前に脱いだ自分の上着を、そっとAの肩へ掛ける。
『そうだね。
…というか、濡れてるのはオビだって同じでしょ。オビが風邪ひいちゃうよ』
「いやいや、俺は大丈夫だから」
『…それなら、私より白雪にーー』
言いかけたその先で、兵士の一人が白雪に自分のマントを差し出しているのが見えて、Aは言葉を飲み込んだ。
だが白雪は湖で鈴を探していた際、水中に伸びた木の幹で擦ってしまったらしく、偶然にもAと同じ場所に傷をこしらえてしまっていた。その痛々しい様子に、Aは眉を寄せる。
オビは呆れたようにため息をついた。
「……ほんと、そういうとこだよ」
『え？…何？』
小さく漏れたオビの声が聞き取れず、Aは首を傾げる。
「いや……どう見ても、A嬢のほうが重症でしょーが」
真っ赤に染まった袖口に目を留め、いつになく険しい表情を浮かべるオビ。
その視線に戸惑いながらも、心配してくれているのだと分かって、Aはふっと笑った。
『見た目ほど大した怪我じゃないよ。
…けど、ありがとう。上着、やっぱり借りるね』
「…どういたしまして」
Aがその厚意をありがたく受け取ると、オビは小さく笑って応えた。
やれやれと息をついたのも束の間、複数の馬の蹄の音が近付いてくるのに気付き、Aたちは腰を上げた。
署名と共に送った報告書を見たゼンたちが到着したようだ。
「A！白雪！」
「『キハル！』」
駆け寄ってくるキハルの姿に、Aと白雪は揃って声を上げた。
「ねえ！なにかあったの！？どうかした！？」
移動中訊ける雰囲気じゃなくて、と困惑気味のキハル。
「いやその前に」
『ポポ間に合った！？』
白雪とAが身を乗り出すように尋ねると、
「ええ！ありがとう、二人とも！」
ぱっと表情を輝かせるキハル。それを見て、Aと白雪はほっと安堵の笑みを浮かべた。
「鈴が湖に落っこちたんだけどね。あんたの鳥が水中でも見つけてくれたんだよ」
代わりにオビが説明する。
「そう！ポポが！」
『どうなることかと思ったけど…ポポのおかげだよ』
キハルの周りをくるくると飛び回るポポを見上げ、Aは柔らかく目を細めた。
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ミツ(プロフ) - つむぎさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです。亀のように遅い更新ですがのんびり続けていきますので、今後もよろしくお願いします！ (10月18日 13時) (
レス) id: b504e5d402 (このIDを非表示/違反報告)
つむぎ(プロフ) - 初コメ失礼します！面白くて一気読みしてしまいました！オビと夢主のやり取りにキュンキュンしながら読んでました！更新楽しみに待っています！ (10月18日 10時) (レス) @page50 id: 714019d982 (このIDを非表示/違反報告)
ミツ(プロフ) - 未来さん» コメントありがとうございます！毎週ワクワクしていただけているなんて、とっても嬉しいです！励みになります！今後もなるべく週1更新目指して頑張りますのでよろしくお願いします。 (7月31日 22時) (レス) id: b504e5d402 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - コメント失礼します。続編おめでとうございます！白雪たちやオビとのやりとりがとても可愛くて、次はどんな展開になるのかと毎週ワクワクしています。これからも応援しています！ (7月31日 21時) (レス) id: 1e1a763177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミツ | 作成日時：2025年7月31日 15時
