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どれくらい走っただろうか。人気の少ない路地裏で、男の子はようやく立ち止まった。


路地裏で知らない男の子と二人っきり。……これはこれで不味いんじゃあないかしら?


「なあ、アンタ」


男の子がこちらを向く。どうしよう、もしもこの子がいけないことを企んでいたら……。
 


「怖くなかったか?流石にあいつらもここまで追っかけてこないから安心していいぜ!……あっ、もしかして余計なお世話だった?ごめんなァ、オレ、いつも考えるより先に体が動いちまって……みんなにもそれでよく怒られてたんだ」




──とっても良い子だ……!




「いいえ!助けてくれてありがとうございます。私ひとりだったらどうなってたか……」


「へへ、礼なんていらねえよ。オレがやりたくてやったことなんだから」


一瞬でも疑ったのが申し訳なくなる。深々とお辞儀をすると、男の子は照れくさそうに笑った。


お礼なんて要らないと彼は言うけれど、それでは私の気が収まらない。そう思っていたら、男の子の視線がバスケットに向けられていることに気づいた。


「あの、良かったらなんですけれど……」





.






「あ、甘え〜!」


男の子は幸せそうにチョコレートを頬張った。口いっぱいに詰め込んだせいで、リスのようになっているのが面白い。


一人では食べきれないからスイーツをご馳走させてほしいと言うと、男の子はすごい勢いで食い付いてきた。


その後すぐ路地裏から近くのベンチに移動し今に至る。


「久しぶりに帰って来たらこんな楽しいお祭りの最中だなんて最高だぜ!これで熱々のピッツァもあったら完璧なのになあ」


「甘いものはともかくピッツァは無いかもしれませんね」


「……まあ良いけど。別にピッツァ食いに戻ってきた訳じゃあねえもん」


口では強がりつつも、少し残念そうな男の子。ころころと表情の変わる彼は、きっとポーカーフェイスが出来ないタイプだ。


「じゃあネアポリスには何をしに?」


「人探し!会いてえ奴が居るんだ」


人探し、か。普段ならともかく、今日のネアポリスは人でごった返している。何の手がかりもなしに見つけるのは難しいだろう。


男の子もそれは分かっているようで、辺りを見回しため息をつく。


「流石のオレでもこんだけの中から探すのは難しいよ……でも、見つからなくてもいいのかもな」



「どうしてですか?その人に会うために来たんでしょう?」



「……会いたいって思ってるの、オレだけかもしれないから」

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あさはか金魚(プロフ) - 面白い!こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます!! (2020年8月2日 10時) (レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます!最初にコメントくれた方ですよね?ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります! (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです!31話からもうわくわくでした!頑張って! (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです!ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです! (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます!作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月3日 4時

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