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Dolcetto o scherzetto(お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ)!」


「これはこれは可愛い赤ずきんちゃん。当店自慢のジェラートをどうぞ、溶けないうちに召し上がれ!」


grazie(ありがとう)!」



──金髪のヴァンパイアに見送られ、繰り出したネアポリスの街は、この世の楽園だった。


街を行き行く人々は大人も子供も皆仮装して、楽しそうに笑い合っている。



「次はどこに行こうかしら……」



チョコレートとピスタチオのジェラートを堪能した後、私はバスケットからガイドブックを取り出す。フェスティバルに関する諸々が載ったそれは、この催しを楽しみつくすための必須アイテムだ。



「ええと、特設ステージでヨーロッパツアーから帰還したばかりの歌手、トリッシュ・ウナのコンサート……」


この名前、どこかで聞いたことがあるような。ジェラートを食べながら考えこむ。いつだったか覚えてないけれど、兄さん達が彼女の話をしていた気がする。ファンなのかしら?


彼女のコンサートは日が暮れてからのようだ。もしかしたら、忙しさのピークの過ぎた兄さん達を誘って見に行けるかも。



「きゃっ」


考えごとをしていると突然、向かってきた人に思いっきり肩をぶつけられてしまった。慌てて顔を上げるも、人が多すぎて誰だったのか分からない。……何か嫌な感じ。



「はあ……」


ちょっとここから離れよう。確か近くに美味しいパン屋さんがあったはず……。







.








「おいアンタ」


ベンチに座ってパン屋さんでゲットしたフルーツサンドを頬張っていると、後ろから声を掛けられた。低い男性の声だ。



「○△通りで定期入れを落とさなかったか?中に男の写真が入ってるヤツ」


○△通り……さっきまで居た場所。バスケットの中を探ると、確かに入れていたはずの定期入れがなかった。ぶつかられた時に落としてしまったのかも。


「それ、多分私のです!拾ってくださったんですか?ありがとうございます!」



振り向くと、そこには長身の男性がいた。男性にしては長い髪、唇には紫色のリップ。そして私の顔を見た瞬間、その人の表情は急速冷凍されたみたいに固まった。


「え、ええと……」


困惑していると、男性は弁解するように口を開く。


「……すまねえ。あんたの顔、知り合いに似てたもんで驚いた」



──この人、もしかして。



「それは、私の双子の兄のことでしょうか?」



再び男性の表情がこわばった。

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あさはか金魚(プロフ) - 面白い!こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます!! (2020年8月2日 10時) (レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます!最初にコメントくれた方ですよね?ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります! (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです!31話からもうわくわくでした!頑張って! (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです!ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです! (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます!作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月3日 4時

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