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｢──Aさんにお願いされたのがそんなに嬉しかったんですか？｣
時は現在へと巻き戻り、ここはジョジョの部屋。
｢控えめなあの子が欲しいものがあるっておねだりしてきたんですよ？可愛い妹の願いなら何でも叶えてやりたくなるのが兄という生き物の宿命です｣
｢だからって限度ってものがあるでしょう｣
視線をジョジョからそらし、彼の背後にそびえ立つ段ボールの山に向ける。某密林の名を冠した通販サイト名の印刷されたそれが部屋のあちこちでタワーを作っていた。壮観である。
｢似合いそうなものを片っ端からカートに入れてたら千件越えてたんですよね……お陰で君たちの衣装を買う費用が全額溶けましたが、まあ過ぎてしまったことは仕方がな｣
｢いや要るやつ以外返品すればいいでしょ｣
｢ド正論過ぎて返す言葉もないですね……はぁ｣
ジョジョはため息をつき、苦々しげに眉間を押さえる。
｢どうもぼくは、あの子のことになるとまともな思考が出来なくなるらしい。以前のぼくならこんな無駄なこと絶対にしなかっただろうに｣
まともじゃあない自覚あったんだ……。
しばらくして顔を上げたジョジョは、すっきり爽やかな表情をしていた。ぼくがよく知るジョジョの顔だ。
｢一着だけ残してあとは返品します。返ってきたお金で改めて君達用の衣装を用意して……ああでも、君の黒タイツ眼鏡女教師やミスタのミニスカゾンビナースもちょっと見てみたかったな｣
｢ミニスカゾンビナースって何！？｣
.
｢それで、どれにするんです？｣
｢難問ですね……｣
これから崩しにかかる段ボールの山を前に、ジョジョは考えこむ。
｢ぼく、あの子の可愛さなら何を着ても似合うしなんならシーツ一枚被っただけでも余裕でミス・ユニバースで優勝できるって本気で思ってるんですよね｣
｢は、はあ｣
｢そんなぼくに的確な判断が出来るとは思えない。……そこで｣
ジョジョがぼくを見る。その表情は真剣そのものだった。
｢これからミスタも呼びます。君たち二人で話しあって、いくつか候補を絞ってもらえますか？最終的な判断はぼくが下しますので｣
ミスタと、か。前回Aへの服選びに付き合わされた時は、確か午前2時まで解放されなかった。効率よく手早く進められるのならそれに越したことはない。
｢ええ、いいですよ｣
──この時のぼくたちはまだ知らなかった。議論が白熱し、夜中の４時まで続くことを……
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あさはか金魚(プロフ) - 面白い！こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます！！ (2020年8月2日 10時) (
レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます！最初にコメントくれた方ですよね？ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります！ (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです！31話からもうわくわくでした！頑張って！ (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてなによりです！ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです！ (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます！作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伯 | 作成日時：2019年9月3日 4時
