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彼は私を信用していないんだ。


昔から、ハーフなことや母さんが居ないことで変な目で見られることがあった。だからかな、向けられる負の感情には敏感な方だと思う。




彼──ミスタさんが私を警戒するのも無理はない。


生き別れの双子の妹。そんな突然現れた小娘が、自分の居ない間に上司に取り入って……ミスタさんから見た汐華Aはこんな感じ?うわあ、とんだ悪女じゃない私……


ミスタさんは、兄さんがとっても信頼している人だという。どんな時でも前向きで、共に道を切り開いて行く人だと。


私にとっては、着慣れた洋服を取り返してくれた恩人だ。そしてこれからもっと仲良くなれたらと思う。だから。



「……私は」


頭をイタリア語モードに切り替える。


ミスタさんは、私を試している。兄さんへの気持ちが本物だと証明してみせろと。その挑戦、受けて立ちます!



「おじいちゃんとおばあちゃんが亡くなって。連絡するように言われてた母さんは、私にまったく興味なんかなくて。真っ暗な世界にひとりぼっちになってしまったみたいな気持ちでした。これからどうなっちゃうんだろうって、毎日泣いて」


「……Aさん、辛いことなら無理に話さなくても」


「ありがとうフーゴさん。大丈夫」


フーゴさんは優しいな。私は言葉を続ける。兄さんとミスタさんは静かに私の話を聞いていた。


「そんな時、兄さんの存在を知りました。驚いたけれど、それ以上に嬉しかった。海の向こうに私と血を分けた片割れがいる。私はひとりじゃあなかったんだって。真っ暗だった世界に、光が差した気がした。──それはここに来てからも変わりません。暗闇を照らす星……それが私の思う兄さんです」



「──星、か。なるほどな」



ミスタさんは神妙に頷き、目を閉じる。しばらくして目を開くと──



「いいこと言うじゃあねえかA!」


「え、えっと」


「怖がらせて悪かったな。改めて、オレはミスタ。これから仲良くしようぜ」



さっきまでの不信感に満ちた無表情から一転、チャーミングに笑うミスタさんは私の手を取ると──手の甲にちゅっ、と口づけた。


わあ、イタリアの挨拶って情熱的だ!びっくりしたけど、これから仲良く出来そうで良かった。




「お、お前お前お前Aさんに何してんだミスタァ!?」


「ミ"ッ」


「ハッ、Aさんの話の時点で感極まって瀕死だったジョジョがショックで泡吹いて気絶している!?ジョジョ、ジョジョ──!!」

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あさはか金魚(プロフ) - 面白い!こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます!! (2020年8月2日 10時) (レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます!最初にコメントくれた方ですよね?ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります! (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです!31話からもうわくわくでした!頑張って! (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです!ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです! (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます!作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月3日 4時

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