What I lost.【爆豪勝己】 (ページ7)

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「それが奪われなくて本当に良かったのですが…。多分、貴方にとってかけがえのないものでしょう。」

「なんですかそれ。」

「1番大切な人の記憶です。」

「へぇ、それで…誰なんでしょう。」

聞いたって、教えてもらったって、その人の記憶がごっそり無いから誰かもわからないだろうけど。一応聞いておくくらいはしておこうか。

「…それは私達にはわかりません。奪われる前に、貴方が1番大切だと思っていた人でしょう。」

そんなことを言われても、私にだってわからないものはわからないのだ。きっと記憶が失くなる前の私に“1番大切な人”は誰？と聞いても「わからない」と答えるだろう。
記憶があっても“アレ”な私が記憶を失くして1番大切な人を見つけ出せる訳がない。
もしその相手が、生き別れの弟とかだったらどうしろと言うのだ。

まぁそんな変なことを考えている時間が無駄なのでこれを考えるのは後回しだ。

「そうですか、わかりました。ありがとうございます。」

「…そんなに落ち込んでいないようだな、水樹。」

「そうですか？まぁ、自業自得ですし、しょうがないことだと思ってます。」

そう、私が首を突っ込まなければ良かったんだ。子供達の安全だけ確保したら、プロヒーローが助けに来るのを待っていればよかった。

でも身体が動いたんだよ、…ってこれは言い訳か。