What I lost.【爆豪勝己】 (ページ11)

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「つーか、なんなんだよ、その気持ち悪りぃ口調は。俺のこと馬鹿にしてんのかよ！？あ”ぁ”！！」

「いや、馬鹿にしてるつもりなんて一欠片もないですけど。」

そろそろ聞かないと、そう思った。
流石の私でも、知らない人にこんなに貶されて黙っていられるわけがない。
とりあえずこの人が何者なのかを知らなければいけない気がした。

「というか、貴方は誰？」

「は？何言ってんだお前。」

「は？何言ってるって……あ。」

まさかとは思った、信じたくなかった。でも、多分こと人が私の、私にとっての“1番大切な人”なのかもしれない。
何故そんな事が分かるかって聞かれてとしても「ただの感」、だとしか答えられない。

警察の人の話を聞いている時から何か引っかかっていた。もしかしたら、あの彼がその対象なのではないか、と。
だとしたらこの事を彼にはどう伝えればいいのだろう。貴方は私の“1番大事な人”なので私は貴方の記憶がありません、なんて死んでも言えるわけがない。まるで告白みたいなものだ、恥ずかしくて言えやしない。

「ちょっと起きたばかりなので…記憶が曖昧になってしまっていたので。本当申し訳ないです。」

とりあえず適当な嘘をついて、この場を凌ぐしかない。でもこの嘘は下手くそすぎた。しかし言ってしまったことはもう取り返しのつかないことなので、彼にバレないことだけを考えることに。

「だー、だからその口調やめろつってんだろ！！お嬢様気取りか！」

お嬢様気取りかって言われても、今の私にとって貴方は初対面の人なのだから敬語で喋るのが当たり前だろう。だからお嬢様気取りでもなんでもない。

だがしかし、実を言うとこの喋り方は面倒臭い。彼の方からやめろって言ってくれるなんてありがたいことだ。

「…じゃあ名前を教え下さい。そしたらこの口調も辞めるので。」

「爆豪勝己だわ！クソが！！記憶が曖昧とかババアかよ！」

ババアて、そこまで貶してくる必要は無いと思うのだが。記憶を失くしてしまった側の私が言うのもなんなんだが。

バクゴーカツキ…か、思った通りだ。全く思い出せない。それにしても、“バクゴー”とはどんな字を書くのか想像も付かない。