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荒北「なァ、」
有紗「ん?」
荒北「レイチャンって」
有紗「ん」
荒北「東堂のこと好きなのォ?」
有紗「んー」
荒北「おめーは“ん”しか言えねーのかよ。」
有紗「言えるわ、…レイが東堂のこと好き、か。」
有紗は小さな声で呟いた。そして自分の手元にある、ボトル内のコーラの粒をただ、じっと眺めていた。
それからゆっくり口を開く。
有紗「好きなんじゃない?」
荒北「やっぱりか。」
有紗「でも、多分恋愛的な“好き”ではないでしょ。それよりも大事なものなのかな?…悔しいけどさ、レイにとって東堂の存在って、滅茶苦茶大きいと思うんだよ。」
レイの中で、東堂とは物凄く重要な、なくてはならない存在なのだ。きっと、恋愛感情では収まりきらない想い。
東堂にとってもレイの存在は大きいのだろう。
有紗「ってか何であたしに聞くんだよ!直接聞きに行けばいいだろ。」
荒北「ンなもん聞きに行けるかァ!!」
唾が飛ぶほどの勢いで荒北は叫んだ。
顔がりんごみたいに真っ赤に染まってゆく。
それから小さなため息をひとつ。
そのため息は、本当に悔しそうで、悲しそうで、辛そうなものだった。
有紗「意気地なしめ。…ほら、そろそろ部活行けよ。福富に怒られんぞ。」
荒北は有紗が見せてくれた携帯の画面で時間を確認すると、すぐに走って行ってしまった。
足はえーな、と感心しながら有紗は大体育館の方へ向かうのだった。
部活が始まっていたので、体育館に顔を出してから部室の方へ着替えに行った。
ベンチの上に置いた鞄の中からロッカーの鍵を取り出す。ロッカーを開けた拍子に、ハラリと一枚の写真が落ちてきた。誰かとのツーショット写真だ。
こんなとこにあったんだ、なんて思いながら、有紗は写真を拾って眺める。
その目は、愛おしそうな、でもそれ以上に切なそうな目で、明らかにその人物に叶わぬ恋をしているようだった。
有紗「意気地なしなんて人に言えたもんじゃないわ。…あたしだって、意気地なしの癖に。」

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もち米太郎(プロフ) - しおらんさん» コメントありがとうございます!!東堂めっちゃ好きで勢いで作っちゃいました笑行き当たりばったりの思いつきの話なので本当文才ないですけど今後も頑張りますんで今後もよろしくお願いします! (2018年9月11日 6時) (レス) id: 498205eb8a (このIDを非表示/違反報告)
しおらん(プロフ) - 凄く面白いです!荒北も好きだけど東堂かっこいいです!早くくっついてほしい!これからハラハラしそうな予感ですが続き楽しみです!頑張って下さい! (2018年9月10日 13時) (レス) id: 097333551a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もち米 | 作成日時:2018年8月13日 18時