78曲目 お酒の力 ページ28
「俺にするよな?」
「俺にしとき?」
「僕にしてよ」
「俺にしろ」
「えーっと…」
数時間前。
うらたさんと二人で遊園地から帰ると、既に酔っ払っている三人が私達を出迎えた。
皆相当お酒が回っているようで、私とうらたさんにもどんどんお酒を飲ませようとしてくる。
泣き疲れた今日くらいは、と注がれるままに軽く飲んでいた。
ふと隣を見ると、そこにはでろでろに酔っ払ったうらたさん。
嫌な予感がしたその時にはもう遅い。
「Aは俺のもんだぁぁぁ!」
「何言うとん、俺のや!」
「いーや、俺のや!うらさんもまーしぃも、ふざけたこと言っとると、なんか、こう、ヤバイことするでぇ!」
「さかたんは純粋に何言うとんの。
それに、Aちゃんは俺のもんやから誰も手ぇ出さんといて?」
皆が叫び出す。
控えめに私も主張をしておくことにした。
「私は私以外の誰のものでもないのですが」
「A好きー!」
私の元へ容赦無く突っ込んできたトップバッターは坂田さん。
私に頬擦りをする様は犬のようである。
そして、それ以上に彼が犬気質の人間であるのだと知ることになる。
「さ、坂田さん!?い、今」
「ん…やわらか…」
彼はいつの間にか私の服を捲り、その中に頭を入れ腹部を舐めていた。
時折すんすん、と匂いを嗅ぐような音も聞こえる。
いや、それは犬というよりただの変態では。
そう思っていると、彼は服の中から頭を出し、しかし服は手で捲ったまま、私の顔を見てゆっくりと言う。
「足りない。まだいけるでしょ?」
優しい笑顔で、言う。
彼は服を留めていたその手を更に上に上げ、遂に下着に手をかけた。
その瞬間、坂田さんの顔にずごしゃぁぁぁぁあっ!とうらたさんの足がめり込む。
坂田さんはそのまま後ろに倒れ、動かなくなった。
「うらたさん、ありがとうございま…」
助けてくれた、そう思い、彼の顔を見上げると。
「優しくするよ?」
その瞳は妖しく鈍く光り、顔付きは完全ドSモードのそれであった。
「わ、私はそろそろ寝たいので失礼しま」
「え、もう寝るの?案外大胆だな…」
「意味が違います」
ネタとしか取れないようなこんな会話も、彼は本気で言っているようで。
じりじりと、こちらに近付いてくる。
頭をぐらんぐらんと揺らした彼は最早狂気的である。
酔っ払い うらたが現れた!
どうする?
戦う
逃げる ◁ピッ
諦める
Aは逃げ出した!
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Shooto_Keeki(プロフ) - たまたま見つけて読んでました。もう本当に最高でした、最後の展開で泣きそうになっちゃいましたよw (2019年9月22日 19時) (レス) id: 7c93d27e64 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 時雨さん» 最後までお読みいただき、ありがとうございました!涙だなんて、そんなに感動していただけてとても嬉しいです…! (2019年1月31日 9時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - とても凄くて感動しました…!!(語彙力低下)最後涙が…;;素敵な作品、読ませていただきありがとうございました…!!!!!! (2019年1月31日 0時) (レス) id: 274b7ae121 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 夢愛-ゆあ-さん» 長編になっていますが、最後までお読みいただきありがとうございます!泣いていただける程感動してもらうことができ、私もとても幸せに思います。わざわざコメントまでいていただき、ありがとうございました! (2019年1月7日 22時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
夢愛-ゆあ-(プロフ) - とても面白くて一気読みしちゃいました…!最後の方は感動で涙が止まりませんでした…(涙)実は小説を読んで泣いたのって初めてで自分でびっくりしてます(((それほど素敵な小説に出会えて幸せです!今から番外編も読ませていただきます!長文失礼しました!! (2019年1月7日 19時) (レス) id: b3b95c5e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽飛 | 作成日時:2018年11月14日 19時