66曲目 実はホラー ページ16
そして途端に訪れる静寂。
「え…？」
それを、誰かが破った。
その人は言葉を続けてしまった。
「停電…？」
途端、周りがざわざわとざわめき出す。
焦る者は叫びをあげ、暗闇を闇雲に歩き出す者も居た。
そんな中、センラさんは私の右手をより一層強く握る。
そのおかげで私は平常心を保っていられたのかもしれない。
「非常時やから、しゃあないなぁ」
左から、坂田さんの声がした。
すると、坂田さんの手元に白い光が浮かび上がる。
スマホのライトだ。
大丈夫か？と私が多少周りを見れるよう、また眩しくないように、私の胸元あたりを照らしてくれる。
その時に見えた二人の顔は真剣で、とても頼りになると思った。
…が。
「え、センラずるっ！何どさくさに紛れてAと手ぇ繋いでんねん！俺も繋ぐ」
そう言って私の左手をとる彼は子供らしいというか犬っぽいというか。
それに対して、映画を観とったときから繋いでたで？と挑発をするように言うセンラさんも、少し子供に感じた。
「きゃっ！？」
それから数分経ち、唐突に後ろから何かを被せられる。
後ろの誰かが衣類か何かを投げたのだろう。
暗闇で突然のことだったので、思わず声が出てしまった。
すると隣の二人はそれに酷く驚いたようで。
「ど、どうしたA！？どっか触られたか？」
「大丈夫やで、俺らがおるからな」
「大丈夫で「ぎゃあぁぁぁぁぁAが顔無しにぃぃぃぃぃ」…布を被ってるだけです、私手空いてないので取ってください」
センラさんがくすくすと笑い布を取り、坂田さんがほっと息を整える。
そんなこんなで更に数分後、停電に対する謝罪アナウンスが入り、無事に続きを観ることができた。
上映が終わり外に出る。
ふと、先程の布を持ったままでいることに気付き、フロントに差し出そうとしたその時。
「あれ、これ濡れて…え」
「なんやそれ、汚いなぁ。ん？どした？」
私は手の中にあるそれを見て手を止めた。
坂田さんも私の手の中を見て固まる。
「…Aちゃん、さかたん。
見なかったことにしましょ？」
センラさんの主張に、私達は全力で頷いた。
そう、私の手の中にあった布はパーカーで、そのパーカーには。
夥しい量の血が付着していた。
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Shooto_Keeki(プロフ) - たまたま見つけて読んでました。もう本当に最高でした、最後の展開で泣きそうになっちゃいましたよｗ (2019年9月22日 19時) (
レス) id: 7c93d27e64 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 時雨さん» 最後までお読みいただき、ありがとうございました！涙だなんて、そんなに感動していただけてとても嬉しいです…！ (2019年1月31日 9時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - とても凄くて感動しました…!!(語彙力低下)最後涙が…;;素敵な作品、読ませていただきありがとうございました…!!!!!! (2019年1月31日 0時) (レス) id: 274b7ae121 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 夢愛-ゆあ-さん» 長編になっていますが、最後までお読みいただきありがとうございます！泣いていただける程感動してもらうことができ、私もとても幸せに思います。わざわざコメントまでいていただき、ありがとうございました！ (2019年1月7日 22時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
夢愛-ゆあ-(プロフ) - とても面白くて一気読みしちゃいました…！最後の方は感動で涙が止まりませんでした…(涙)実は小説を読んで泣いたのって初めてで自分でびっくりしてます(((それほど素敵な小説に出会えて幸せです！今から番外編も読ませていただきます！長文失礼しました！！ (2019年1月7日 19時) (レス) id: b3b95c5e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽飛 | 作成日時：2018年11月14日 19時
