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お店の裏にパタパタと行ってしまった七海さん。
ふぅ...と、息を吐く。
なんだ今の、好きです...とか。
そういう意味じゃなくてもあれは戸惑うやろ!!
小悪魔かなんかか!?
1人で悶々としながら七海さんを待っていると
さっきお店に来た常連さんらしき男性から声をかけられた。
『あの〜、ここ来るの初めてですか?』
重｢あ、、はい...｣
『そっかそっか、いい店っすよね〜ここ』
重｢はい、、あ、の...｣
『あ、僕ここよく来るんです。七海ちゃんのコーヒー美味しいんよな〜』
重｢常連さん...ですか?｣
『んー、そうやね、そんな感じですぅ』
｢あー、もうっ《あきと》さん、またお客様に絡んでる!｣
『絡んでへんわ! 挨拶しただけやん〜』
｢もうっ、程々にしてくださいね。...重岡さん、お待たせしました。お会計こちらになります｣
重｢あ、はい。...じゃあ、これで｣
｢はいっ、ちょうどお預かり致します! ありがとうございます｣
重｢美味しかったです。お話も...ありがとうございました｣
｢いえ、とんでもない...。あ、よかったらこれ...ちょっと待っててくださいね｣
キーパーの横にある、小さなラックから包装紙と小さな透明の袋を持ってきて
俺の前にずっと置いてあった赤いスイートピーに保水をして、包装紙でくるくるっと巻いて
俺に手渡した。
｢おうちで飾ってあげてください、きっとこの子達も喜びます｣
重｢ありがとうございます! 嬉しいです...飾ります!｣
｢はい、かわいがってあげてくださいね｣
またふんわりと笑ってくれた七海さん。
ｶﾗﾝｶﾗﾝ...
扉を開けて外に出ると、やっぱりまだ肌寒くて。
でもここに来た時より気持ちは明らかに軽くて
寒いけど、ほかほかする。
手元の赤いスイートピーを見て、ふと笑みがこぼれる。
不思議な出会いをした。
時の流れがあそこだけ少しゆっくりで。
店主(?)の七海さんはその店の癒しそのものって感じで。
また行こう、そう思わせてくれる場所だって。
あの短時間だけだけど、そう確信した。
重｢...心の岸辺に咲いた、赤いスイートピー...、なんてな｣
【スイートピー:至福の喜び】
赤いスイートピー。 Daiki.S 《Fin》
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作者名：maoka. | 作成日時：2021年8月13日 23時
