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どこか切なそうに、でも優しくスイートピーを見つめた彼女は、
大人っぽくて、艶やかで、また心臓がどきっとする。
俺は女性の、普段とは少し違う優美な表情に弱い、らしい。
｢イメージ通り、期待通り。そう思った人もいれば逆もいると思います。でもそれって、あくまでこちらが勝手に期待をしただけで...私は全ての人やものに存在する意味があると思います。｣
重｢存在する意味...?｣
｢いらない人やものなんていないんです、きっとどこかで知らない間に役に立ってるって私は思います。だからこそ、繕わず...自然体で。自分らしくいていいと思います。｣
重｢...例えば、関西弁で話したり...?｣
｢そうですね、それも重岡さんらしさのひとつだと思います! ...って、初対面なのに何言ってんだって感じですよね...すみません...｣
重｢いや! あのっ...すごく...こう...なんていうんやろ、上手く言えんけど...｣
｢...お力に、なれたでしょうか...?｣
重｢はいっ!! いやもうそれはとっても...!!｣
｢ほんとですか、よかったぁ...｣
『ふぁ〜、今になってちょっと緊張しますっ』
って顔をほんのり赤らめて、顔の前で手をパタパタする七海さん。
ほっ、と心が軽くなるような、不思議な感覚になった。
少し冷めてしまったコーヒーを啜って、深呼吸をする。
空気が美味く感じて、笑みがこぼれる。
七海さんの言葉は、具体的な解決案でもなんでもないけど
自分らしくいた方が肩の力が抜ける。
期待なんて、壊してしまえばええ。
いつかきっと、自分らしくいる俺をわかってくれて、どこかで役に立てる。
そう思わせてくれるすごい言葉やった。
重｢七海さん...｣
｢はいっ｣
重｢ありがとうございます、なんか...めっちゃすっきりしました｣
｢重岡さん、今とっても素敵な顔してます｣
重｢えっ...｣
｢肩の力が抜けた、とてもいい表情...私、今の重岡さんの方が好きです｣
重｢あ、え...と...｣
ｶﾗﾝｶﾗﾝ...
誰かが店に入ってきて、はっ、と2人とも我に返る。
危ない...、気まずくなるところやった...。
入ってきたのは物腰柔らかそうな、私服の男性やった。
『七海ちゃん、こんばんは〜』
｢あっ、いらっしゃい! お好きな席どーぞ!｣
『ありがとう、いつものお願いね』
｢はーいっ、...と、すみません、重岡さん長々と...｣
重｢あ、いや...こちらこそありがとうございました! そろそろ帰りますね｣
｢あ、はいっ! 今お会計お持ちしますね｣
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作者名：maoka. | 作成日時：2021年8月13日 23時
