ep.56 ページ10
駿佑side.
もうグラウンドには生徒がたくさんいるというのに、肝心の先輩の姿が見当たらない。
もしかして、西畑先輩とか？そんな不安を覚えた俺は思わず校舎の方へ向かっていた。
校舎にはほとんど生徒なんていなくて。どこにおるんやろ…と手当たり次第探す。携帯を鳴らしても出ることがない。
先輩の教室に行けば、先輩の携帯らしきものがあり、先輩の手元には無いことを知る。
駿「どこにおるんや…」
どうしよう。この間に先輩が他の誰かに取られてしまってたら。そんな焦りが俺の中を巡る。
先輩の教室から出ようとしたその瞬間。後ろから呼び止められた。
大「…道枝くんやっけ。」
駿「…西畑先輩…！」
どうしてこの先輩がここに？もしかして先輩といたのでは…とか思っていると。
大「Aちゃんを探しとるん？」
駿「…！そうですけど…」
そう言えば少し悲しそうに笑って。
大「Aちゃんなら、中庭の方へ行くって言ってたで。」
駿「あ…、そうですか、ありがとうございます…。」
素直に教えてもらったほうへ向かおうとすると。
大「道枝くん、Aちゃんを頼むな…」
そんな声が聞こえた気がした。振り向いてなんのことなのか問い詰めたかったけど、先輩とすれちがったら…と思い後ろを振り向かなかった。
中庭につくと。先輩らしき姿を見つけた。
駿「A先輩…」
『…あれ、駿佑くん。ごめんね、グラウンドにいなくて。』
少し空笑いする先輩がどうしても見ていられなくて。ギュっと先輩を抱き締めた。
『…駿佑くん？』
突然のことに驚きをかくせない先輩。それでも俺は抱き締めるのを辞めない。
駿「…先輩、俺と付き合ってくれますか。」
今こんなこと聞くの自分でも卑怯なのだと思う。でも俺なら先輩をこんな辛い目にあわせないって言える。
『駿佑くん…』
あの西畑先輩が言ったこと本当は分かってた。あの時だって先輩を呼び止めたのも、邪魔しにきたんじゃなくて、ただ、ただ、
先輩を諦めるような目をしていたから。
俺があの人に「今更遅い」なんて言える立場じゃなかった。あの人はちゃんと先輩のことを諦めると決意して、気持ちを伝えたんだと思う。
だからこそ、俺は。先輩を幸せにしなければ。
駿「A先輩、俺は先輩のこと大切にします。」
どうか受け取って、先輩。
『…こんな、私でよければ…』
そういって抱き締め返してくれた。
これでいいんだよな、これで…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 478人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「なにわ男子」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イヅキ - あまとさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです…！自分でも書ききれた達成感でいっぱいです。本当に読んでくださってありがとうございました。 (2022年10月21日 16時) (
レス) id: 072635462a (このIDを非表示/違反報告)
あまと(プロフ) - 完結おめでとうございます！いつも更新楽しみに読ませていただいてました。複雑な心模様が丁寧に描かれた惹き込まれる物語で、大好きな作品でした！今まで執筆お疲れ様でした。素敵な作品をありがとうございました！ (2022年10月19日 20時) (レス) @page50 id: 4e08d1fad2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イヅキ | 作成日時：2022年8月7日 20時
