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家の玄関を開け、後ろ手で鍵を閉める。そしたら、スマホを取り出して、今日の「記録」を確認する。
これが近頃のルーティーンになり始めていた。
画像のフォルダの中は、Aの写真で埋め尽くされていた。どれを取ってもアイツがカメラを向いている写真はなく、どれも隠れて撮ったものばかりだ。今日も二枚増えた。それと、二人きりで喋るタイミングがある時は、アイツの声を録音しておくことだってある。
自嘲と共に、心の中で独りごちた。
まともじゃねぇな、と。
しかしこれは、空っぽの体に罪悪感と形容しがたいほの暗い幸福をもたらしてくれるのだ。強いて名前をつけるなら、独占欲、と言うのだろうか。
アイツが煙草を吸うのは俺の前だけだと知った時に、或いは、悪態をついて下卑た笑いを浮かべていた時に、或いは、原因不明の「発作」が起こって、目が覚めたらアイツが薄く涙を浮かべていて痛いほどの力で抱きしめられた時に。
「ああ、この顔を知っているのは俺だけなのだ」と思った。それと同時に、これをどこかに記録しておかねばならない、という衝動に駆られた。
それから気がついた時にはもう、この感覚の中毒になっていた。最近はさらにそれが強くなってきているのを感じる。
その前までは、適当に女を見繕っては抱いて、一生人になど執着しないと思っていたのに。何故、こんな回りくどい手段を使ってまでアイツに近づこうとしているのだろう。
思えば、アイツが転勤してきてからおかしくなったような気がする。初めて会話した時だって、他の奴に比べてやけに馴れ馴れしく、それが恐ろしいほど自分に馴染んで驚いた。
まるで古い友人と再開したような――――そんな感覚。
ザザ、と頭にノイズが走るような頭痛がした。
「……またかよ」
スマホを机に伏せ、ソファーに寝転がる。頭に走った痛みは段々と大きくなり、小さく呻くことしかできない。心の中で何度もAを呼ぶ。
同時に、断片的な「知らない記憶」がフラッシュバックした。
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−(プロフ) - わ〜！！！！そう言って貰えると励みになります！！！！！ありがとうございます！！！！！ (2021年10月29日 20時) (
レス) id: abbb997ccd (このIDを非表示/違反報告)
桜忌(プロフ) - めっちゃ好きです。これからも続き楽しみに待ってます！！ (2021年10月29日 1時) (レス) @page8 id: 542ce05019 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：− | 作成日時：2021年10月17日 22時
