馬鹿みたいに一途な恋。【花垣武道】 (ページ19)

今日:1 hit、昨日:11 hit、合計:12,345 hit

第17話ページ19

もう360度どこを見渡しても彼が見えないところまで来た。

これから君が私の元へ帰ってくることはない。
デートもしない、手も繋がない。

その日常が、当たり前になるんだ。これが本来の形だったんだ。

ただ付き合う前の関係に戻るだけ。

……分かっているのに。頭では分かってるハズなのに。

涙がどんどん溢れてくるよ。

ホントは寂しい。

別れたくない。君の隣で笑っていたかった。

でも君が後悔だらけの人生で、たったひとりでこの世から去ってしまうのは、もっと辛いから。

泣くくらいなら別れなかったらいいじゃんって思うかもしれない。

でもね、こうしなくちゃいけなかったの。

私が世界で一番好きな人が恋人のまま、彼を殺したくなかったの。

Aは泣いては目を擦り、また溢れては擦って、それを繰り返しながら暗い夜の道を歩いていった。

どんなに苦しくても、どんなに悲しくても辛くても。

もう君には会えない。

私がこの決断を揺るがさない限り、神様に祈っても、誰かに願っても、君に会うために私自身の命を捧げたとしても。

何をしたとしても。