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第8話 ページ9

「ココ君!私今日頑張るから、楽しみにしててね。」

「ああ。楽しみにしてる。じゃあまた後でな。」

「うん!」

電話越しに声を聴くと、今日は元気があるみてぇで安心した。

******
会場で渡される奏者のことが詳細に書かれたパンフレットを見る。
このパンフレットさえあれば、こういう人間は"造れる"。

そして迎えた彼女のステージ。

綺麗な水色のドレスに身を包み、奏でられる音はとても優しく柔らかい。
この前よりもずっと上達している。
きっと必死に練習したのだろう。

俺や聴いた人々が彼女へ拍手を送る。
俺の口角は無意識に上がっていた。

******
「ココ君!」

「うおっ!走ると危ねーぞ。」

「えへへっ、どうだった!?」

「おう。すごかった。流石だ。」

Aちゃん、撫でられて嬉しそうだ。

「ココ君にほめられて、すっごく嬉しい。」

この子はきっと、些細なことでも幸せだと、それを噛みしめることのできる子。

*******

「A、あなたに手紙よ。…それにこれ…」

「なに?」

用事があるココ君とバイバイして、演奏後のプレゼントや手紙などの贈り物を受け取るときのこと。

その手紙にはこう書かれていた。

"乾Aさんへ

あなたの演奏を聴きました。とても素晴らしい演奏でしたよ。

あなたが病気と戦いながら一生懸命頑張っていると、パンフレットを通して知りました。

私は今日からあなたのファンになりました。
素敵な演奏を送ってくれたあなたに、これからも頑張ってもらいたい。私はあなたを支えたい。

小さなレディ、あなたに幸運が舞い込みますように。"


「そしてここにお金が入っていたの。Aの病状をパンフレットで読んで、資金援助を申し出てくださったそうよ。」

おばあちゃん宛にも手紙が届いていたみたい。

「良かったわね、A。あなたが人のためにした演奏が、巡り巡ってあなたに返ってきたわよ。」

「…!!うん!」

Aは嬉しそうに手紙をぎゅっと抱きしめた。

ある日突然現れた、名前も知らない、その人との出会い。


私はその人のことを足長おじさんと呼ぶことにした。

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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました!!ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました! (2022年8月1日 5時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ! (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ!!こういう雰囲気いいですよね!!! (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜花 | 作成日時:2022年5月28日 19時

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