第31話 ページ32
何で君はそんなことが出来るんだ。好きなやつを他の人の所へなんて。
俺にはそんな真似、出来ねぇよ…。
「…Aちゃん…本当に、ごめん…」
俺は膝を付いて顔を覆った。その時だった。
ベンチに座り直していた彼女が、そっと俺を抱き寄せてくれた。
「今までいっぱいいっぱい、ありがとう。私、すっごく楽しかったよ。幸せな夢をたっくさんみせてくれてありがとう。」
彼女は名残惜しそうに、そっと身体を離した。
「赤音ちゃんがあの場所で待ってる。行ってらっしゃい。」
彼女が見せてくれたその笑顔は、今までで見た中で一番可愛くて─いや、綺麗だった。
知ってる。君は本当に強がりなんだ。
どんなに辛くても、君はいつだってそうやって強がって、平気だって笑うんだろう。
Aちゃんに背を向けても、俺は歩き出せなかった。
「…もう、俺が居なくても平気か？」
「うん。兄ちゃんがいるからね。」
…嘘。ホントはまだ寂しい。けど、ここで大丈夫だと言えないと、ココ君が安心してお姉ちゃんへの気持ちに素直になれないから。
「イヌピーと…仲良くな。」
「うん…。最後に、私が背中を押してあげる。」
お願い、あと少しだけまって。
「バイバイ、元気でね。…また、遊ぼうね。一くん。」
分かってる。私達にまたはない。
「…今まで、本当にありがとな。A。」
答えは出た。
俺を押してくれた小さな手。
その手はとても温かくて、優しかった。
…もう、行ったよA。もう、大丈夫だよ。
本当は行かないでほしかった。
私の王子様は一君だと信じたかった。
でもお姫様が待っているなら、そこへ行かなきゃ。
私はもう、彼から離れなくちゃね。
大好きだよ、一君。これから先も、ずっとずっと。
私はちゃんと、新しい花を咲かせて見せるから、それまではお願い、君を好きでいさせて。
私は君のお姫様にはなれないけど、
今日はきっと、人生で1番我慢した日。
そして、人生で2番目に泣いた日。
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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました！！ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました！ (2022年8月1日 5時) (
レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ！ (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ！！こういう雰囲気いいですよね！！！ (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年5月28日 19時
