第27話 ページ28
「Aちゃん、今日は容態が安定してるわね。恐らくだけどあと2、3日は咳が少しマシになるんじゃないかしら。」
看護師さんに言われて、少しホッとした。そこから、数日だけ外出させてもらえることになった。もちろん、時間は決められているけれど。
その時間を、ココ君のために使うことにした。
これはきっと、最後のデート。
そして今は2月、とてもチョコを手作りする元気がなかったから、チョコは買うことにした。
*****
「おまたせココ君。」
「全然。今日は大丈夫なのか？」
「うん！行こ！」
*****
ココ君とずっと一緒に行きたかった遊園地。
一緒にメリーゴーランドに乗って、夢みたいな場所で、お姫さまになったみたいだった。
一緒にお菓子食べて写真撮って、キラキラしてた。
今はショッピングモールでお買いもの。可愛い服を買ったり、次の発表会に使えそうなアクセサリーを一緒に見てまわった。ココ君に似合いそうな服もいっぱい探した。
困ったことに、ココ君はかっこいいから何でも似合っちゃう。
公園でいっぱい遊んで、シロツメクサの花冠を、今度はココ君が作ってくれた。お礼に私は、見つけた四つ葉のクローバーをココ君にあげた。
その後図書館にも行った。今日、たった一日で色んなところに行ったのに、そのすべてが、私にとって特別な場所になっていった。
「ココ君、バレンタイン、遅くなっちゃったけど…これあげる。私ね、やっぱりココ君のことが大好き。」
「Aちゃん…俺…」
「さ、行こ！まだ行きたいところが2つあるの！」
Aは遮って、一の手を取った。前を向いたAの唇がキュッと結ばれたのを、一は見逃さなかった。
「…ここって…」
俺の忘れられない、赤音さんの眠る場所。
「これをね、届けておきたかったんだ。」
「！それ…」
あの時、宝箱でみた玩具の指輪。
「これね、Aが3歳になったばっかの時の誕生日プレゼントだったんだよ。1つは宝箱の中。もう1つがこれ。お姉ちゃんのぶん、ずっと私が持ってたんだ。」
Aちゃんはこの指輪の思い出を語ってくれた。
"ねーね！コレあげる！"
"いいの？これ、Aのプレゼントでしょ？"
"ふたつ！"
Aは2つ持っているのを赤音に見せた。
"けっこん！ねーねずっといっしょ！"
そうAが笑顔を見せると、赤音は優しく微笑んだ。
"じゃあ約束ね？"
そういえばあの時赤音さんは呟いていた。
"可愛い婚約者がふたりもいて、私は幸せ者だね。"
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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました！！ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました！ (2022年8月1日 5時) (
レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ！ (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ！！こういう雰囲気いいですよね！！！ (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年5月28日 19時
