第24話 ページ25
「ゴホッ、ゴホッ…」
最近、息苦しい時間が多くなった。それは病気が悪化したからでもあったが、彼女にとってはそれだけではなかった。
一が赤音を呼んだあの日から、彼女の中にずっとそれが引っ掛かっていたのだ。
*****
関東事変が終わり、一と青宗は決別することを決めた。
ただ、Aとの答えが出るまでは関係を続けることにした。
「Aちゃん、入るぞ。」
「どうぞ…。」
ノックをして返事が返ってきた。
震える手で部屋の戸に手をかける。病室に入る一の足は止まった。
ドクンと心臓が音をたてる。
砂嵐のように、赤音さんが眠っていた光景がいきなり思い出される。
ここは、赤音さんが亡くなった病院。
彼女の田舎の病院ではこれ以上回復は望めないため、街中の病院に移動になった。
荒くなる息。やめろ、Aちゃんが見てる。
この子を心配させるのは…どうしても駄目だ…
「ココ君…?大丈夫…?」
「…ごめん、Aちゃん、俺…用事思い出した…」
「…え?」
俺はバッと病室から飛び出してしまった。
彼女のは重い病気だ。彼女が死んでしまったら、俺は今度こそ終わりだ…この世界のどこにも、俺の居場所はない。
生きる意味を幾ら探せど見つからない。
もう俺にとって生きる意味を与えてくれるのは、あの子しかいないんだから。
俺は彼女から逃げ出した。俺の背を見て、彼女の胸が締め付けられていたことも考えずに。
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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました!!ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました! (2022年8月1日 5時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ! (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ!!こういう雰囲気いいですよね!!! (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年5月28日 19時