第2話 ページ3
「ここら辺だよな…」
バスから降りて地図を見ながら歩く。
イヌピーの祖母の家は田舎のひっそりとしたところにあるようだ。
確かにここくらい静かなら、静養にはよいだろう。
歩いていくと、まだ幼い女の子がいることに気がついた。
子ども…まさか。
犬と遊んでいたその女の子が不意にこちらに振り向いた。
俺は持っていた物を落とした。
ふわっと靡く髪。その瞳。何もかもが、彼らと同じ。
…ああ、あの人に、やっぱり似てる。
イヌピー以上に、よく似てる。
「…？」
その女の子は、オロオロしていた。
急に近づいたら驚かれるだろうけど、近づかずには居られなかった。
小さいその子の前に屈んでそっと頬に手を添えた。
びくっと目を瞑る。
「…大丈夫、君を食べたりしないよ。何もしないから。」
「ほんと？」
「ああ。ホント。な？」
…やっぱりまだ怖いみてぇだな。無理もないか。
「…っ！！」
俺は下唇を噛んだ。胸が痛い。こんなにも辛い。
彼女の頭を撫でたとき。前髪をさらりと撫でたとき。
彼女の額には一生残る火傷の痕があったのだ。
「A？」
名前を呼んだのはイヌピーの祖母。彼女が来るなりAちゃんはパッと彼女の後ろに隠れた。
「あらあなたは…確かココ君だったかしら？」
「はい。お久しぶりです。」
イヌピーの家に何度か来ていた彼女。小学生の頃に何度か会ったことがある。
「すっかり大きくなったわね。今日はどうしたの？」
「Aちゃんに、会いに来たんです。そして、あなたに青宗のことも、ちゃんと話しておきたくて。」
「…そう。じゃあ、中に入りましょう。美味しいお菓子を用意しましょうね。Aも手伝って頂戴ね。」
「うん。」
穏やかに笑うとその子は一緒に遊んでいた犬を犬小屋に連れて行った。
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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました！！ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました！ (2022年8月1日 5時) (
レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ！ (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ！！こういう雰囲気いいですよね！！！ (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年5月28日 19時
