新たな金の使いみち。【九井一】

第10話 ページ11

ココ君と一緒に過ごすようになってから、少しずつ年月は過ぎていった。

一は高校一年生、Aは小学二年生になった。

「次の発表会ね、すっごく気合い入れてるの！」

「おう。頑張れ。次はいつあるんだ？」

「7月11日！私の誕生日！」

「！Aちゃんその日誕生日だったのか。」

「うん！」

ココ君と初めてあったのは私の誕生日過ぎてからだったもんね。

「じゃあ頑張んねーとな。誕生日、何が欲しい？」

「ココ君がくれるなら何でも！」

「ははっ、何でもかー…仰せのままに、お姫さま。」

「めっっちゃ楽しみにしてるね！！！」

*****

Aちゃんの誕生日…7月11日か…
何が良いのか手がかりはないか、俺は図書室に寄り、その日のことについて調べた。

誕生石はアイオライトか…
誕生星はアルドラ、意味は理想の高い芸術的センス。

花は本によって違った。
一つはミント、もう一つはハイビスカス。

ミントの花言葉は「かけがえのない時間」。
…あの子は俺と過ごしていて本当に楽しそうだ。俺のことも、そう思ってくれているのだろうか。

ハイビスカスの花言葉は「新しい恋」。
ハイビスカスは1日で萎れてしまう一日花で、毎日新しい花を咲かせることから、「新しい恋」という花言葉が付けられたそうだ。

…新しい恋、か。あの子に必要なものだ。
いつか俺はこの子から離れなくてはならない。
この子に、ちゃんとした道を歩んでもらうためにも。

いつか俺のことは忘れてしまうかもしれねぇ。
…いや、多分この子はそんな事出来ないな。
一途で優しい子だから。

彼女が俺との時間を大切にしてくれているように、今、俺も彼女と過ごす時間を大切にしよう。

俺と彼女の別れが来た時に、彼女が悲しみに押し潰されてしまわぬように。

彼女に必要だと思うものを、彼女の大好きなぬいぐるみと共に贈ることにした。

そういや、"もう一つ"のプレゼントはどうすっかな…

「…！」

彼女が使っていたヴァイオリン、結構傷んでたよな…

よし、決めた。

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