52話 ページ7
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──雑誌の撮影があった翌日。
朝練のため、マネージャーとして他の部員が来るより早く部室に向かっていたとき。
「おはようAちゃん！」
シャッと気持ちの良いホイールの音と、澄んだ爽やかな声が後ろから聞こえた。
振り向くと、目が合った彼──…真波くんが、にっこり微笑んでくれる。
「いつもこんな早いの？すごいや」
「おはよう。真波くんこそどうしたの？いつも遅刻ギリギリなのに…」
そんな朝早くに会う真波くんが珍しくて、私は思わず驚いて聞いた。
いつもの真波くんは朝練のとき、遅刻ギリギリで滑り込んでくるか、遅刻してくるか、そもそも学校にも遅刻してくるかの3パターン。
「昨日雑誌の撮影の後、オレ先輩たちと合流したでしょ？Aちゃんは荒北さんや新開さんと話してたけど、オレその時東堂さんと話してて」
そこまで言った真波くんが、意味深に言葉を止める。
そのまま顔を近付けてひそひそと囁いてくるものだから、何だか少しくすぐったかった。
「──偵察行ってこいって言われたんだ」
「…偵察？」
どこの、何の偵察？
そんな疑問が私の顔に出ていたのか、真波くんが説明を続けてくれる。
「昨日から伊豆のサイクルスポーツセンターで、千葉代表の総北が合宿やってるんだって。面白いクライマーがいるみたいで、東堂さんが見てこいってさ」
「総北…」
──まただ。また、その名前。
どうしてか先輩たちが気にしている、私の知らない高校の名前。
インハイ連続出場を決めた、千葉代表の総北高校。
「東堂さんが面白いって言うなんて相当だよね。どんな人なんだろう」
クライマーである東堂さんの登りの速さは、これだけ速い人の揃う箱学自転車競技部の中でもトップクラスだ。
それに東堂さんって意外と人に興味が無いというか……いや、私にはすごく優しくしてくれるんだけどね。
優しいけれどどこか他人と一線を置いていて、あんまり人に執着しないような、そんなイメージの東堂さん。
その東堂さんが言う「面白いクライマー」。すごくすごく気になる…。
「気になるんだったらAちゃんも行く？」
そんな私の心境に気付いたのか、真波くんがそう言って首を傾けた。
アホ毛がぴょこんと揺れて可愛らしい。
「…えっでもダメだよ。私マネージャーだし、お仕事いっぱいあるし…」
てゆーか真波くんだってこの後朝練なのに…という言葉は飲み込んだ。空気は読める女なので。
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暁☆(プロフ) - 名無し20182号さん» コメントありがとうございます！！嬉しいです🥰 更新頑張りますね！ (8月23日 0時) (
レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
名無し20182号(プロフ) - 神作すぎて一気見しちゃいました💞めちゃめちゃきゅんきゅんします！！更新応援してます❕ (8月17日 21時) (レス) id: f1e05d66bf (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！！ 嬉しいです、頑張ります😭 (5月31日 14時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！ドキドキしました…！続きが楽しみです！更新頑張ってください！！ (5月31日 3時) (レス) @page27 id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 新規オタクさん» コメントありがとうございます！🙇♀️ (2023年1月30日 13時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁☆ | 作成日時：2020年12月14日 21時
