63話 ページ18
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──新開さんに待ち合わせに指定されたのは、4月に1度だけ行ったウサ吉ちゃんのいる校舎裏だった。
少しだけ長引いた4限を恨みながら、人で溢れかえった廊下を気持ちだけは急いで進んでいく。
昼休みの廊下は人が多くて苦手だ。特に購買周りと食堂周りはすごい。
でも季節もあってか外に向かって行くにつれて、人の姿はだんだんまばらになってきた。暑いもんね。
「Aちゃん！」
外に出て校舎をぐるーっとまわっていくと、ウサギ小屋の前に目立つ赤髪がしゃがみこんでいるのが見えた。
私の姿を見つけた瞬間、立ち上がって大きく手を振ってくれる。
「待たせちゃってすみません！」
慌てて走って行くと、新開さんは優しく笑って首を振った。
その首筋を流れる汗が色っぽくて、何となく目を逸らす。
「ウサ吉に餌やってたから全然いいよ。おめさんもやる？」
ひょい、と緑の葉っぱを渡された。
ありがとうございますと受け取って、ウサ吉ちゃんの鼻先にそれを差し出す。
もしゃもしゃと葉っぱを貪るウサ吉ちゃんをニコニコしながら見守っていると、よし、と新開さんが声をあげた。
「外あっついからなぁ。俺穴場知ってるんだけど、来てくれる？」
「あ、はいっ」
てっきりこのまま校舎裏で食べるのだと思っていたから、ちょっとだけ驚く。
私に合わせてゆっくり歩いてくれる新開さんの隣に立つと、まるで自分が彼の恋人になったみたい、なんて。
──傍から見れば、付き合ってるように見えるのかな。
そうだったらいいのにな、なんて、子どもっぽい考えが頭をよぎった。
「Aちゃんは今日も弁当？」
「はい。新開さんはパンですか？」
「うん。購買人すごかったぜ」
ここに至るまでの廊下の人混みを思い出して、ちょっとだけうんざり。
とてもじゃないけれど、私が購買でパンを買える日は来ないんじゃないだろうか。高校生っぽくて憧れるんだけどなぁ。
「……そういえば今日は、福富さんたちはいないんですね」
少し気になって、いつもはみんなで食べてるんですか？と聞いてみる。
「うん、だいたいは一緒に食べるかな。食堂が多くて、たまに俺と靖友で屋上にも行くよ」
別に集まろうって約束してるわけじゃないんだけどな、と笑う新開さん。やっぱり先輩たちは仲が良いんだな。
「……今日は、Aちゃんと2人で食べたかったからさ」
──珍しく、緊張の滲んだ声。
あまりにもまっすぐな言葉に、ドキリと胸が鳴った。
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暁☆(プロフ) - 名無し20182号さん» コメントありがとうございます！！嬉しいです🥰 更新頑張りますね！ (8月23日 0時) (
レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
名無し20182号(プロフ) - 神作すぎて一気見しちゃいました💞めちゃめちゃきゅんきゅんします！！更新応援してます❕ (8月17日 21時) (レス) id: f1e05d66bf (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！！ 嬉しいです、頑張ります😭 (5月31日 14時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！ドキドキしました…！続きが楽しみです！更新頑張ってください！！ (5月31日 3時) (レス) @page27 id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 新規オタクさん» コメントありがとうございます！🙇♀️ (2023年1月30日 13時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁☆ | 作成日時：2020年12月14日 21時
