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60話 ページ15





手嶋さんは照れくさそうに笑って、それから軽く頷く。


「ありがとな。んじゃー、次会うときは敵同士ってことで」


その言葉にはい、と元気良く返事をすると今度は、連絡先だけ交換しない?と首を傾げられた。


「え、ぁ、はいっ」


ズボンのポケットから携帯を出した手嶋さんを見て、私も慌てて携帯を取り出す。


初対面の人とすぐ連絡先交換できちゃうなんて、やっぱり手嶋さんはコミュ力が高いみたいだ。

私なんて新開さんとアドレスを交換するのさえ、かなり時間がかかったのに。


「よし。じゃあ気をつけて帰れよ。時間大丈夫?」

「っ大丈夫じゃないです!」


手嶋さんの言葉に、携帯に表示された時間を見て私は思わず慌てた声をあげた。

これはもう遅刻は免れない。早く真波くんを連れて帰らなくちゃ。


「あ、ありがとうございました!またインハイで!」


ぺこりと頭を下げ、急いで来た道を戻る。
手嶋さんは笑って手を振ってくれて、最後まで優しい人だった。








そうして全力で走って最初にCSCに忍び込んだ場所に戻ってきたものの、まだ真波くんの姿は見えない。


「ぇぇえどうしよう…遅刻だ…」


もう一度携帯を開いて、一応真波くんに電話をかけてみる。
まだロードに乗っているのなら出ないだろうけど、念の為だ。

案の定というべきか携帯は留守番電話に繋がって、諦めて通話を切る。


とりあえず葵ちゃんに遅刻するというメールを入れて、それから私は何となく空を見上げてみた。

青くて綺麗な空。ついさっきまでは霧も濃かったけれど、今は気持ち良く晴れている。

インハイ当日もこんな風に晴れてくれるといいなぁ。
暑いのは嫌だけど、でもやっぱり、それ以上に楽しみだ。


「Aちゃん!」


もう随分と聞き慣れた声に名前を呼ばれ、空からそちらの方へと視線を移す。

真波くんがちょうどロードを持ち上げて、仕切りを跨いでくるのが目に入った。


「おかえり真波くん。どうだった?」

「うん、すごい面白かったよ」


にっこり、満面の笑みを私に向けてくる真波くん。

こんな早朝のCSCで、何か面白いことが起こったのだろうか。…いや、真波くんのことだから坂を登るだけでもすごい面白いんだろうけど。


「東堂さんが言ってた面白いクライマー、わかったよ。確かに面白かった」

「え、ほんと?いいなぁ私も見たかった!」


私が手嶋さんと話している間に、真波くんはきちんと目的を果たしていたらしい。さすがだ。




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暁☆(プロフ) - 名無し20182号さん» コメントありがとうございます!!嬉しいです🥰 更新頑張りますね! (8月23日 0時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
名無し20182号(プロフ) - 神作すぎて一気見しちゃいました💞めちゃめちゃきゅんきゅんします!!更新応援してます❕ (8月17日 21時) (レス) id: f1e05d66bf (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます!! 嬉しいです、頑張ります😭 (5月31日 14時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!ドキドキしました…!続きが楽しみです!更新頑張ってください!! (5月31日 3時) (レス) @page27 id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 新規オタクさん» コメントありがとうございます!🙇‍♀️ (2023年1月30日 13時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁☆ | 作成日時:2020年12月14日 21時

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