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「今日も楽しそうでしたね、先輩と先生」
『...そうかな、』
「松村先生があんな楽しそうに喋ってるの、
A先輩相手にしか見たことないです」
『...部活の時しか知らないからでしょ。
授業の時だって別にあんな感じだよ、いつも』
「そうですか？そんなことないと思うけど」
『授業受けたことないでしょ、作間くん』
「あの人は楽しげに授業やるタイプじゃない、
それくらいは受けなくても分かります」
『...何が言いたいの、』
「別に？仲良いですよねってこと」
...今日も、何考えてるか、全然分かんない。
わたしの唯一の後輩は、可愛いけどちょっと怖い。
「これじゃ大昇も報われないな」って苦笑いする、
作間くんの手元には爽やかな青色。
今日の空はそんな澄んだ色はしていないし、
話してる内容だってとても綺麗とは言えないけど、
彼が手にするのはいつもこんなすっきりした色で。
落ち着いていてクールな作間くんのギャップは、
描く絵に1番現れているとわたしは思う。
多分、というか絶対、この子は、
わたしの松村先生への気持ちに気付いている。
その上で「先生も先輩のことお気に入りでしょ？」
って、そんなことをいつも言ってくる訳だけど、
それは違うと何度主張しても聞く耳持たずで。
「今日、空、そこまで曇ってないですよ」
『...作間くんこそ、そんな晴れてないよ』
「俺はこの色が好きなの、だからそれでいいの。
先輩だって普段ならこの色選ぶでしょ？」
『...今日はその色は選べないの』
恋心は、そんな晴れやかな色ばかりじゃないのだ。
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作者名：りり | 作成日時：2019年9月1日 20時
